
オーソドックス製法とは?
紅茶は、同じ茶葉から作られていても、製造方法によって香りや味わい、茶葉の形が大きく変わります。
その代表的な製法の一つが「オーソドックス製法」です。
オーソドックス製法は、紅茶が誕生した頃から受け継がれてきた伝統的な製法で、現在でもスリランカやインドをはじめとする紅茶産地で広く採用されています。
時間と手間をかけて茶葉を丁寧に仕上げることで、産地や品種が持つ本来の香りや味わいを引き出しやすいことが特徴です。
まずは、オーソドックス製法とはどのような製法なのかを見ていきましょう。
オーソドックス製法とはどんな製法?
オーソドックス製法とは、摘採した茶葉を「萎凋(いちょう)」「揉捻(じゅうねん)」「玉とき・ふるい分け」「発酵」「乾燥」という工程を経て紅茶に仕上げる伝統的な製造方法です。
揉捻では茶葉を揉み込み、細胞を壊すことで茶葉の成分と空気が触れ合いやすくなります。その後、揉捻によって塊になった茶葉を「玉とき」でほぐし、「ふるい分け」を行います。
ここで十分に揉まれた茶葉は発酵工程へ進み、まだ大きく揉み込みが足りない茶葉は再び揉捻機へ戻されます。
この工程を経ることで、茶葉全体を均一な状態で発酵させることができ、香りや味わいのムラが少ない紅茶になります。
発酵と乾燥が終わると「荒茶」が完成し、その後に仕分け・グレード分け(グレーディング)が行われ、PEKOEやBOP、Dなどの茶葉サイズごとに分類されます。
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なぜ「オーソドックス」と呼ばれるの?
「オーソドックス(Orthodox)」には、「伝統的な」「正統な」という意味があります。
その名のとおり、紅茶が世界中へ広まる中で長く受け継がれてきた製造方法であり、現在でも品質を重視する多くの紅茶産地で採用されています。
ただし、「オーソドックス製法=高品質」「それ以外=低品質」という意味ではありません。
これは品質を表す言葉ではなく、製造方法を表す名称です。
紅茶にはさまざまな製法があり、それぞれに特徴があります。
そのため、どちらが優れているという考え方ではなく、どのような味わいの紅茶を作りたいかによって製法が選ばれています。
世界中で親しまれている伝統的な製法
現在、世界で生産される紅茶の多くは、大量生産に適したアンオーソドックス製法(CTC製法など)によって作られています。
一方、オーソドックス製法は、生産量では世界の主流ではないものの、スリランカやインド、中国など、多くの紅茶産地で現在も受け継がれています。
この製法の魅力は、茶葉本来の個性を引き出しやすいことです。
同じ製法で作られた紅茶でも、産地や標高、気候、茶樹の品種によって香りや味わいは大きく変わります。
そのため、オーソドックス製法は産地ごとの特徴を楽しみたい方や、ストレートティーで紅茶本来の風味を味わいたい方に長く親しまれています。
次の章では、現在世界で最も多く採用されている「CTC製法」と比較しながら、それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。
オーソドックス製法の流れ
オーソドックス製法では、摘み取った茶葉をいくつもの工程を経て紅茶へと仕上げていきます。
一つひとつの工程にはそれぞれ重要な役割があり、どれか一つでも適切に行われなければ、美味しい紅茶はできません。
ここでは、紅茶が完成するまでの流れを順番に見ていきましょう。
摘採から萎凋まで
紅茶作りは、茶畑で新芽を摘み取る「摘採(てきさい)」から始まります。
摘み取られた茶葉は、そのまますぐに加工するのではなく、「萎凋(いちょう)」という工程でゆっくりと水分を減らしていきます。
萎凋の目的は、水分を適度に抜いて茶葉を柔らかくし、次の揉捻工程で傷みにくくすることです。
また、この工程では茶葉の中でさまざまな変化が始まり、紅茶らしい香りのもととなる成分も少しずつ作られていきます。

揉捻と玉とき・ふるい分け
萎凋を終えた茶葉は、「揉捻(じゅうねん)」という工程へ進みます。
揉捻では茶葉を強い力で揉み込み、細胞を壊すことで茶葉の成分と酸素が触れやすい状態を作ります。これが、次の発酵工程に欠かせない準備となります。
しかし、揉捻を行うと茶葉から出た細胞液によって、茶葉同士が大きな塊になってしまいます。
そこで行われるのが「玉とき」です。
玉ときでは、揉捻でできた茶葉の塊を丁寧にほぐし、茶葉一枚一枚が空気に触れやすい状態にします。
その後、「ふるい分け」を行い、十分に揉まれた茶葉だけを発酵工程へ進めます。
一方で、まだ大きく揉み込みが足りない茶葉は、再び揉捻機へ戻され、もう一度揉捻されます。
この工程を繰り返すことで、発酵ムラの少ない均一な品質の紅茶が作られます。

発酵・乾燥で荒茶になる
十分に揉まれた茶葉は、発酵工程へ進みます。
発酵では、揉捻によって空気に触れやすくなった茶葉が酸化し、紅茶特有の赤褐色や豊かな香り、味わいが生まれます。
発酵時間は、作りたい紅茶の特徴や工場の管理方法によって調整されます。
発酵が終わると、乾燥機で水分をしっかり取り除きます。
乾燥することで発酵が止まり、長期間保存できる状態になります。
この段階で完成するのが「荒茶(あらちゃ)」です。
まだ商品として仕上がった状態ではなく、大きな葉や細かな葉、茎などが混ざった状態になっています。


仕分け・グレード分け・梱包
乾燥を終えた荒茶は、最後の仕上げ工程へ進みます。
まず行われるのが「仕分け(クリーニング)」です。
ここでは、茎や繊維などを取り除き、茶葉をきれいな状態に整えます。
その後、「グレード分け(グレーディング)」が行われます。
これは、完成した乾燥茶葉を大きさごとに分類する工程で、PEKOEやBOP、Dなどの茶葉サイズへ分けられます。
ここで行われるグレード分けは、製造途中の「玉とき・ふるい分け」とは目的が異なります。
玉とき・ふるい分けは発酵を均一に進めるための工程ですが、グレード分けは商品として出荷するために茶葉サイズを揃える最終工程です。
グレード分けが終わった茶葉は品質検査を経て梱包され、世界中へ出荷されます。


CTC製法とは?
CTC製法は、現在世界で最も多く採用されている紅茶の製造方法です。
大量生産に適しており、短時間でしっかりとした味わいを抽出しやすいことから、ティーバッグ用やミルクティー用の紅茶を中心に広く利用されています。
オーソドックス製法とは製造方法が異なりますが、どちらが優れているというものではありません。
それぞれ異なる特徴があり、用途や求める味わいによって使い分けられています。
ここでは、CTC製法について詳しく見ていきましょう。
CTCはCrush・Tear・Curlの略
CTCとは、
Crush(押しつぶす)
Tear(引き裂く)
Curl(丸める)
という3つの工程の頭文字を取った名称です。
オーソドックス製法では揉捻(じゅうねん)によって茶葉を加工しますが、CTC製法では専用の機械を使い、茶葉を一気に細かく加工していきます。
完成した茶葉は粒状に近い形になり、見た目にもオーソドックス製法の茶葉とは大きく異なります。
この製法は生産効率に優れていることから、現在では世界中で広く採用されています。
短時間で濃く抽出しやすい製法
CTC製法で作られた茶葉は細かく加工されているため、お湯と触れる表面積が大きくなります。
そのため、比較的短時間でも色や味がしっかり抽出されやすいのが特徴です。
コクがあり、濃厚な味わいになりやすいため、ミルクを加えても紅茶の風味が負けにくく、力強い味わいを楽しめます。
また、短時間で安定した抽出がしやすいことから、提供する味を均一に保ちたい場面でも多く利用されています。
ティーバッグやミルクティーで使われやすい理由
CTC製法の紅茶は、抽出が早く濃い味わいになりやすいため、ティーバッグやミルクティー用として広く使われています。
特にティーバッグでは、限られた抽出時間でも十分な色や味を引き出しやすいため、多くの製品で採用されています。
一方で、「ティーバッグ=CTC製法」というわけではありません。
オーソドックス製法で作られたBOPなどの茶葉をティーバッグに使用している商品も数多くあります。
つまり、ティーバッグに使われる茶葉は製法だけで決まるものではなく、メーカーが目指す味わいや商品のコンセプトによって選ばれています。
CTC製法の特徴を実際に味わってみたい方は、アッサム産のCTC紅茶がおすすめです。
濃厚なコクがあり、ミルクティーやチャイとの相性が良いため、オーソドックス製法との違いも比較しやすいでしょう。
次の章では、オーソドックス製法とCTC製法の違いを、茶葉の形や味わい、抽出の特徴などを比較しながら詳しく見ていきましょう。
オーソドックス製法とCTC製法の違い
オーソドックス製法とCTC製法は、どちらも紅茶を作るための製法ですが、茶葉の形や味わい、抽出の特徴が大きく異なります。
どちらが優れているというものではなく、楽しみたい飲み方や用途によって適した製法が変わります。
ここでは、それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。
茶葉の形の違い
最も分かりやすい違いは、完成した茶葉の形です。
オーソドックス製法では、茶葉の形を比較的残したまま製造されるため、細長いものやねじれたものなど、茶葉本来の形が見られます。
一方、CTC製法では、専用の機械で茶葉を押しつぶし、引き裂き、丸めるため、小さく丸みを帯びた粒状の茶葉になります。
見た目が違うだけで品質に優劣があるわけではなく、それぞれの製法に適した形状になっています。
香りと味わいの違い
オーソドックス製法は、産地や茶葉が持つ繊細な香りや風味を楽しみやすいのが特徴です。
ストレートティーでは、茶葉本来の香りや余韻を感じやすく、産地ごとの個性も楽しめます。
一方、CTC製法は短時間でしっかりとした色やコクが抽出されやすく、力強い味わいになりやすい傾向があります。
そのため、ミルクを加えても紅茶の風味がしっかり残り、濃厚なミルクティーやチャイとの相性が良いとされています。
どちらも紅茶としての魅力があり、「繊細な香りを楽しみたいか」「しっかりしたコクを楽しみたいか」によって選ぶと良いでしょう。
抽出スピードの違い
抽出時間にも違いがあります。
オーソドックス製法では、茶葉の形が比較的残っているため、ゆっくりと成分が抽出される傾向があります。
一方、CTC製法は茶葉が細かく加工されているため、お湯と触れる表面積が大きく、比較的短時間でも濃い紅茶を淹れやすいことが特徴です。
そのため、忙しい朝や短時間で抽出したい場合にはCTC製法が選ばれることも多くあります。
ただし、抽出時間は茶葉の量やお湯の温度によっても変わるため、製法だけで決まるものではありません。
向いている飲み方の違い
飲み方によっておすすめの製法も変わります。
オーソドックス製法は、香りや風味をじっくり楽しめるため、ストレートティーやアイスティーとの相性が良い製法です。
一方、CTC製法は、濃厚なコクを活かせるミルクティーやチャイに向いています。
ただし、これはあくまでも一般的な傾向です。
例えば、オーソドックス製法で作られたBOPは、ミルクティーとの相性も良く、実際に飲食店やホテルなどでも幅広く使用されています。
製法だけでなく、茶葉サイズや産地も味わいに大きく影響するため、「オーソドックスだからストレート」「CTCだからミルクティー」と決めつけるのではなく、自分の好みや用途に合わせて選ぶことが大切です。
オーソドックス製法のBOPとは?
BOPという言葉を聞くと、「細かい茶葉だからCTC製法なのでは?」と思われる方も少なくありません。
しかし、これは紅茶でよくある誤解の一つです。
BOPは製法を表す言葉ではなく、完成した紅茶を茶葉サイズごとに分類した「グレード」の一つです。
そのため、オーソドックス製法でもBOPは作られます。
ここでは、その違いを詳しく見ていきましょう。
BOP=CTCではない
BOPは「Broken Orange Pekoe」の略で、乾燥まで終わった紅茶を仕分け・グレード分けした際の茶葉サイズを表す名称です。
一方、CTCは紅茶の製造方法を表す名称です。
つまり、
- BOP=茶葉サイズ(グレード)
- CTC=製造方法
であり、両者は比較する対象そのものが異なります。
そのため、「BOPだからCTC製法」「細かい茶葉だからCTC」というわけではありません。
オーソドックス製法でもBOPは作られる
オーソドックス製法で作られた紅茶も、乾燥後の仕分け・グレード分けによってPEKOEやBOP、Dなどのサイズに分類されます。
つまり、BOPはオーソドックス製法でもごく一般的に作られている茶葉サイズです。
オーソドックス製法のBOPは、茶葉が比較的小さいため抽出しやすく、コクがありながらも香りとのバランスが良いのが特徴です。
そのため、ストレートティーはもちろん、ミルクティーやアイスティーなど幅広い飲み方で楽しまれています。
BlenteaLab.のBOP茶葉の特徴
BlenteaLab.で取り扱っているBOP茶葉も、オーソドックス製法で丁寧に製造された茶葉です。
短時間でもしっかりとした味わいを引き出しやすく、豊かな香りとコクのバランスを楽しめます。
また、ハーブやスパイスとの相性も良いため、ミルクティーやチャイ、ブレンドティーのベースとしてもおすすめです。
「細かい茶葉=CTC製法」と思われがちですが、オーソドックス製法ならではの香りを持つBOPも数多く存在します。
どちらの製法を選べばいい?
ここまでご紹介したように、オーソドックス製法とCTC製法にはそれぞれ異なる特徴があります。
どちらが優れているというものではなく、「どんな紅茶を楽しみたいか」によって選ぶことが大切です。
迷ったときは、まず飲み方から考えると選びやすくなります。
香りを楽しみたいならオーソドックス製法
茶葉本来の香りや産地ごとの個性を楽しみたい方には、オーソドックス製法がおすすめです。
ストレートティーはもちろん、アイスティーでも香りや風味を感じやすく、紅茶そのものの魅力を味わえます。
「今日はゆっくり紅茶を楽しみたい。」
そんな時間には、オーソドックス製法の紅茶がよく合います。
濃さや手軽さを重視するならCTC製法
短時間で濃い紅茶を淹れたい方や、ミルクティーやチャイを楽しみたい方にはCTC製法が向いています。
抽出が早く、しっかりとしたコクを楽しめるため、忙しい朝や毎日の一杯にも取り入れやすい製法です。
また、ティーバッグにも多く採用されているため、手軽に楽しみたい方にも人気があります。
用途に合わせて選ぶのが一番大切
オーソドックス製法とCTC製法は、競い合うものではなく、それぞれ得意な場面が異なります。
例えば、
- 香りを楽しみたいならオーソドックス製法
- 濃厚なミルクティーを楽しみたいならCTC製法
- バランスの良い味わいを楽しみたいならオーソドックス製法のBOP
というように、飲み方や好みに合わせて選ぶのがおすすめです。
紅茶にはさまざまな楽しみ方があります。
製法の違いを知ることで、自分にぴったりの一杯を見つけやすくなるでしょう。
まとめ|製法を知ると紅茶選びがもっと分かりやすくなる
紅茶は同じ茶葉から作られていても、製造方法によって香りや味わい、抽出の特徴が大きく変わります。
今回ご紹介したオーソドックス製法とCTC製法も、それぞれ異なる魅力を持つ製法です。
製法の違いを知ることで、「どの紅茶を選べば良いのか」が分かりやすくなり、自分好みの一杯に出会いやすくなるでしょう。
今回のポイントまとめ
今回の記事のポイントを振り返ってみましょう。
- オーソドックス製法は伝統的な紅茶の製造方法
- CTC製法は世界で最も多く採用されている製造方法
- BOPは茶葉サイズ(グレード)であり、CTC製法を意味するものではない
- オーソドックス製法でもBOPは作られる
- 製法によって香りや味わい、抽出の特徴が異なる
製法を理解すると、紅茶選びがもっと楽しくなります。
オーソドックス製法とCTC製法は優劣ではなく特徴の違い
オーソドックス製法とCTC製法は、どちらかが優れているというものではありません。
それぞれ異なる特徴があり、楽しみたい飲み方や用途によって向き・不向きがあります。
ストレートティーで香りを楽しみたい日もあれば、濃厚なミルクティーやチャイを飲みたい日もあります。
その日の気分や飲み方に合わせて製法を選ぶことが、紅茶をより楽しむコツです。
ぜひ、オーソドックス製法とCTC製法、それぞれの違いを飲み比べながら、自分好みの味わいを見つけてみてください。
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BlenteaLab.では、オーソドックス製法で丁寧に製造されたセイロン紅茶を取り扱っています。
香りを楽しみたい方にはPEKOE、コクと抽出のバランスを重視したい方にはBOPがおすすめです。
また、この記事でご紹介したCTC製法との違いを実際に飲み比べてみると、それぞれの特徴をより実感できるでしょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
BlenteaLab.では、紅茶・ハーブ・スパイスに関する知識を、工場ならではの視点で分かりやすく発信しています。
これからも、毎日のティータイムがもっと楽しくなる情報をお届けしていきますので、ぜひ他の記事もご覧ください。
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