
「運動前にコーヒーを飲むといい」という話を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
その理由のひとつが、コーヒーに含まれている「カフェイン」です。
では、同じようにカフェインを含んでいる紅茶はどうでしょうか?
紅茶を飲むなら運動前と運動後のどちらがよいのか、ダイエットや脂肪燃焼を目的としている場合にも意味があるのか、気になる方もいると思います。
結論からいえば、カフェインの作用を運動に活かしたいのであれば、基本的には「運動前」が取り入れやすいタイミングです。
ただし、
- 運動する時間帯
- 運動の種類
- カフェインへの感受性
- 普段のカフェイン摂取量
- 運動中にかく汗の量
- 就寝までの時間
などによって適した飲み方は変わります。
また、「運動前に紅茶を飲めば脂肪がどんどん燃える」というほど単純なものでもありません。
この記事では、紅茶を製造・加工する紅茶工場の視点も交えながら、紅茶に含まれるカフェインと運動の関係、運動前・運動後それぞれの飲み方について詳しく解説します。
紅茶は運動前・運動後どちらに飲むのがおすすめ?
カフェインの作用を考えるなら基本は「運動前」
紅茶に含まれる成分の中で、運動との関係が特に注目されているものが「カフェイン」です。
カフェインには中枢神経を刺激する作用があり、眠気や疲労感の感じ方、集中力などに影響します。
スポーツの分野でもカフェインと運動パフォーマンスの関係について多くの研究が行われており、特に持久系運動を中心に、運動前のカフェイン摂取がパフォーマンスに影響する可能性が報告されています。
そのため、
「紅茶を運動前と運動後のどちらに飲む?」
という二択で考えるのであれば、カフェインの作用を活かすという目的では「運動前」が基本となります。
ただし、紅茶は医薬品やスポーツサプリメントではありません。
普段飲んでいる紅茶を運動前の飲み物として上手に取り入れる、という程度に考えておくのがよいでしょう。
運動の30〜60分前がひとつの目安
カフェインは、口に入れた瞬間に最大限の作用が現れるわけではありません。
摂取後に消化管から吸収されて血液中へ移行していくため、運動に合わせて摂取する場合は、一般的に運動開始の30〜60分ほど前がひとつの目安とされています。
例えば、
「これからランニングに行こう」
と思って紅茶を飲み、すぐに走り始めるよりも、少し余裕を持って紅茶を楽しんでから運動を始めるイメージです。
ただし、カフェインへの反応には個人差があります。
少量でも動悸や胃の不快感を感じる方もいるため、無理に運動前へ取り入れる必要はありません。
運動後に紅茶を飲んではいけないわけではない
「運動前がおすすめ」と聞くと、
「では運動後に紅茶を飲むのはよくないの?」
と思うかもしれません。
もちろん、そのようなことはありません。
運動後に紅茶を飲むこと自体に問題があるわけではなく、無糖紅茶は運動後の飲料のひとつとして楽しむことができます。
ただし、運動後に大量の汗をかいている場合は話が変わります。
この場合に優先したいのは、運動によって失った水分、そして必要に応じてナトリウムなどの電解質を補給することです。
紅茶だけですべてを補おうとするのではなく、運動量や発汗量に合わせて水や電解質を含む飲料などと使い分けることが大切です。
なぜカフェインは運動前に利用されるの?
カフェインと「アデノシン」の関係
カフェインが眠気や疲労感に影響する仕組みを理解するために知っておきたいのが、「アデノシン」という物質です。
人間は起きて活動している間、脳内にアデノシンが蓄積していきます。
アデノシンが脳にある受容体に結合することで、私たちは徐々に眠気や疲労を感じるようになります。
ところが、カフェインはこのアデノシン受容体の働きを妨げます。
その結果、眠気や疲労感の感じ方に影響し、覚醒状態を維持しやすくなるのです。
これが「コーヒーや紅茶を飲むと目が覚める」と感じる理由のひとつです。
そして、この作用は運動中の疲労感とも関係します。
▶︎ 寝る前に紅茶を飲んでも大丈夫?カフェインと睡眠への影響を紅茶工場が解説

運動中の「きつさ」の感じ方に影響する可能性
運動を続けていると、
「もう疲れた」
「きつい」
「そろそろやめたい」
という感覚が強くなっていきます。
運動前に摂取したカフェインは、このような主観的な疲労感や運動強度の感じ方に影響する可能性があります。
つまり、同じ運動をしていても「きつい」と感じる程度が変化し、結果として運動を続けやすくなったり、一定の運動強度を維持しやすくなったりする可能性があるということです。
特にランニング、サイクリングなどの持久系運動では、カフェインと運動パフォーマンスについて多く研究されています。
脂肪燃焼についてはどう考えればいい?
ダイエットをしている方にとって最も気になるのが、
「運動前にカフェインを摂ると脂肪が燃えやすくなるの?」
という点ではないでしょうか。
カフェインは交感神経系などに作用し、脂肪組織から脂肪酸が動員される過程に影響することが知られています。
そのため、カフェインと脂質代謝・運動との関係についてさまざまな研究が行われています。
しかし、ここで誤解してはいけないことがあります。
「紅茶を飲めば体脂肪が勝手に減る」
という意味ではありません。
体脂肪を減らすための基本は、食事・運動・エネルギーバランスなどを長期的に整えることです。
紅茶やカフェインだけで大きなダイエット効果を期待するのではなく、運動を行う際の補助的な選択肢のひとつとして考えるのが適切でしょう。
紅茶にはどのくらいカフェインが入っている?
紅茶・コーヒー・緑茶・烏龍茶を比較
カフェインと聞くとコーヒーをイメージする方が多いですが、紅茶だけでなく緑茶や烏龍茶にも含まれています。
一般的な抽出液100mlあたりのカフェイン量の目安を比較すると、次のようになります。
| 飲み物 | カフェイン量の目安(100mlあたり) |
|---|---|
| コーヒー | 約60mg |
| 紅茶 | 約30mg |
| 煎茶 | 約20mg |
| 烏龍茶 | 約20mg |
| 麦茶 | 0mg |
| ルイボスティー | 0mg |
※カフェイン量は茶葉・豆の種類、使用量、抽出温度、抽出時間、商品などによって変動します。
紅茶はコーヒーよりカフェイン量を抑えながら取り入れやすい
一般的な抽出条件で比較すると、紅茶はコーヒーより100mlあたりのカフェイン量が少ない傾向があります。
そのため、
「運動前にコーヒーを飲むとカフェインが強すぎる」
「普段からコーヒーをあまり飲まない」
「もう少し穏やかな飲み物を選びたい」
という方にとっては、紅茶という選択肢もあります。
もちろん、カフェインへの感受性には大きな個人差があります。
「紅茶なら何杯飲んでも大丈夫」ということではないため、自分の体調や1日の摂取量を考えながら取り入れましょう。
カフェインの気になる方はこちらの記事もご覧ください。
▶︎カフェインって身体にいいの?悪いの?メリットデメリットや適量上手な付き合い方までわかりやすく解説

運動前の紅茶はダイエットにも向いている?
無糖紅茶なら余計な糖質やカロリーをほとんど増やさない
ダイエット中に紅茶を取り入れる大きなメリットのひとつが、無糖で飲めることです。
茶葉とお湯から抽出したストレートティーであれば、砂糖入りの清涼飲料水などと比べて、糖質やエネルギー摂取を大幅に抑えることができます。
特に夏は、
「運動後だから」
と甘い飲料を何本も飲んでしまうと、知らないうちに糖分を多く摂取してしまうことがあります。
運動内容や発汗量によっては糖質や電解質を含むスポーツドリンクが役立つ場面もありますが、すべての運動で必ず必要になるわけではありません。
日常的な軽い運動であれば、無糖紅茶も飲み物の選択肢になります。
「紅茶を飲むだけで痩せる」わけではない
カフェイン、紅茶ポリフェノール、脂質代謝などについて調べていると、
「紅茶=ダイエットに効果的」
というイメージを持ってしまうことがあります。
しかし、体重や体脂肪は紅茶だけで決まるものではありません。
例えば、運動前に無糖紅茶を1杯飲んでも、その後に消費エネルギーを大幅に上回る食事を続けていれば、紅茶だけで帳消しにすることはできません。
反対に、日常的に飲んでいる砂糖入り飲料を無糖紅茶へ置き換えれば、結果として1日の摂取エネルギーを抑えられる場合があります。
「何を足すか」だけでなく「何と置き換えるか」という視点も重要です。
運動前の甘いミルクティーには注意
紅茶そのものは低カロリーでも、砂糖、ハチミツ、シロップなどを加えれば当然エネルギー量は増えます。
特に市販の甘いミルクティーは、紅茶だけでなく糖類や乳成分などが含まれている商品も多いため、
「紅茶だからダイエット向き」
とは一概にいえません。
ダイエット目的で運動前に取り入れるのであれば、まずは無糖のストレートティーがおすすめです。
運動後の紅茶は水分補給になる?
紅茶も日常の水分摂取の一部になる
「紅茶にはカフェインが入っているから、水分補給にはならない」
と思われることがあります。
確かにカフェインには利尿作用があります。
しかし、通常の飲用範囲で紅茶を飲んだからといって、摂取した水分がすべて失われてしまうわけではありません。
紅茶も日常的な水分摂取の一部として考えることができます。
▶︎ 紅茶は水分補給になる?夏に飲むときの注意点とおすすめの飲み方を紅茶工場が解説

大量に汗をかいた後は紅茶だけでは不十分なことも
一方で、
・真夏の屋外で長時間運動した
・大量の汗をかいた
・長距離を走った
・激しいスポーツを長時間行った
といった場合は、紅茶だけに頼るべきではありません。
汗をかくと水分と一緒にナトリウムなどの電解質も失われます。
このような場合は、水分だけでなく必要に応じて電解質も補給することが重要です。
運動の内容、時間、気温、発汗量などに応じて、水やスポーツドリンクなどと使い分けましょう。
夏なら無糖のアイスティーという選択肢も
暑い時期の軽い運動後なら、よく冷やした無糖アイスティーも楽しみやすい飲み方です。
紅茶工場の立場からアイスティー用の茶葉を考えると、個人的には「渋みが強すぎず、冷やしても飲みやすい茶葉」をおすすめします。
例えば、弊社で扱っているスリランカ・キャンディ産のPEKOEは比較的大きなサイズの茶葉で、渋みが比較的穏やかなため、アイスティーにも使いやすい紅茶です。
運動専用の特殊な紅茶というわけではありませんが、普段の食事や仕事中、夏のアイスティーなど幅広く使えるため、日常生活の中に無糖紅茶を取り入れたい方にも向いています。
運動前に紅茶を飲むときの注意点
空腹時に濃い紅茶を大量に飲まない
朝起きてすぐ運動する方などは、空腹状態で紅茶を飲むこともあると思います。
しかし、空腹時に濃い紅茶を大量に飲むと、人によっては胃の不快感や気分の悪さを感じる場合があります。
特にカフェインに敏感な方や胃腸が弱い方は注意しましょう。
その場合は、
・紅茶を薄めに淹れる
・量を減らす
・軽食後に飲む
など、自分に合った方法へ調整してください。
夕方・夜の運動ではカフェインに注意
健康のために運動をしているのであれば、特に注意したいのが「睡眠」です。
カフェインの半減期には個人差がありますが、成人では数時間にわたって体内に残ります。
そのため、
「夜に運動するから、集中するために紅茶を飲もう」
と濃い紅茶を飲んだ結果、寝付きが悪くなってしまっては本末転倒です。
夕方から夜に運動する場合は、就寝時間との間隔やカフェインへの感受性を考え、場合によってはデカフェ紅茶、麦茶、ルイボスティーなどへ切り替える方法もあります。
紅茶だけではなく「1日のカフェイン総量」で考える
運動前に紅茶を1杯しか飲んでいなくても、それだけで1日のカフェイン摂取量を判断することはできません。
カフェインは、
- コーヒー
- 紅茶
- 緑茶
- 烏龍茶
- 抹茶
- マテ茶
- エナジードリンク
- コーラ類
- ココアやチョコレート
など、さまざまな食品や飲料に含まれています。
例えば、朝にコーヒーを飲み、昼食後にもコーヒーを飲み、午後にエナジードリンクを飲んでいる人が、さらに運動前に濃い紅茶を飲めば、合計量は多くなります。
健康な成人については、1日400mg程度までが一般的な上限の目安として示されることがありますが、妊娠中の方、子ども、カフェインに敏感な方などでは考え方が異なります。
「紅茶を何杯まで」だけではなく、1日を通して摂取したカフェイン全体で考えることが大切です。
筋トレ前にも紅茶はおすすめ?
筋トレとカフェインの関係
カフェインというと、ランニングやサイクリングなどの持久系運動との関係が注目されがちですが、筋力・パワー系の運動についても研究されています。
そのため、筋トレをする人にとっても運動前のカフェインは選択肢のひとつです。
「ランニング前は紅茶、筋トレ前はコーヒーでなければならない」
というような明確な区別があるわけではありません。
普段から紅茶を飲んでいる方であれば、筋トレ前の飲み物として無糖紅茶を選ぶこともできます。
筋トレ前だから大量のカフェインが必要なわけではない
スポーツ栄養の研究では、体重1kgあたり数mgという比較的多いカフェイン量が検討されることがあります。
しかし、それをそのまま一般の方が日常的に摂取する必要はありません。
特に高用量のカフェインは、
- 動悸
- 手の震え
- 不安感
- 胃腸の不快感
- 睡眠への影響
などにつながる場合があります。
市販されているプレワークアウト製品や高カフェイン飲料と、普段飲む紅茶1杯は分けて考えた方がよいでしょう。
この記事でおすすめしているのは、あくまで「普段飲んでいる紅茶を運動と上手に組み合わせる」という方法です。
運動前におすすめの紅茶の飲み方
無糖のストレートティー
ダイエット目的も兼ねて運動するのであれば、最もシンプルなのが無糖のストレートティーです。
砂糖やシロップを加えなければ余計な糖分を増やさず、紅茶本来の香りや味を楽しめます。
特に毎日運動する方の場合は、1回あたりの小さなカロリー差でも積み重なります。
「運動するから特別なものを飲まなければならない」と考えず、普段の飲み物を無糖にすることから始めてもよいでしょう。
ホットとアイスはどちらでもOK
「脂肪を燃やしたいならホットティーの方がいい?」
と思う方もいるかもしれません。
しかし、運動前の紅茶を必ずホットで飲まなければならないわけではありません。
寒い季節ならホットティー、暑い季節ならアイスティーというように、気温や運動環境、自分の好みに合わせて選んで問題ありません。
むしろ無理なく続けられる飲み方を選ぶことの方が大切です。
アイスティーならPEKOEもおすすめ
アイスティーにする場合、茶葉選びによって飲みやすさは大きく変わります。
アイスティーは紅茶を冷やすため、茶葉によっては渋みが強く感じられたり、白く濁る「クリームダウン」が起こったりすることがあります。
弊社で扱っているキャンディ産PEKOEは、比較的大きな茶葉で渋みが穏やかであり、アイスティーとしても使いやすい紅茶です。
特に夏場は多めに作って冷やしておけば、食事、おやつ、仕事中、運動前後などさまざまな場面で無糖紅茶を楽しめます。
運動する時間帯によって紅茶を使い分けよう
紅茶を運動に取り入れるときは、
「運動前か、運動後か」
だけで考えるのではなく、
「何時に運動するのか」
まで考えると、より自分に合った飲み方が見つかります。
| 運動する時間帯 | 紅茶の取り入れ方 |
|---|---|
| 朝 | カフェインが体質に合えば運動前の紅茶も選択肢 |
| 昼 | 運動30〜60分前を目安に無糖紅茶を取り入れやすい |
| 午後 | 就寝時間を考えながらカフェイン量を調整 |
| 夜 | デカフェ紅茶・麦茶・ルイボスティーなども選択肢 |
| 運動後 | 発汗量に応じて水分・電解質補給を優先しながら紅茶を楽しむ |
特に重要なのが夜です。
運動パフォーマンスを少し高めるためにカフェインを摂取しても、その結果として睡眠時間が短くなったり睡眠の質が低下したりすれば、翌日の体調や運動にも影響します。
紅茶は「いつ飲んでも同じ」ではありません。
自分の生活リズムに合わせて使い分けることが大切です。
まとめ|紅茶は運動前を基本に、時間帯と水分補給も考えよう
紅茶を運動前と運動後のどちらに飲むべきか迷った場合、カフェインの作用を運動に活かすという目的であれば、基本的には「運動前」が取り入れやすいタイミングです。
目安として運動開始の30〜60分ほど前に無糖紅茶を飲むことで、カフェインによる覚醒作用や疲労感の感じ方への影響を運動に活かせる可能性があります。
ただし、紅茶を飲めば自動的に脂肪が燃えたり、飲むだけで痩せたりするわけではありません。
ダイエットの基本となるのは、食生活や運動習慣、エネルギーバランスなどです。
紅茶はそれらを補助する日常的な飲み物として考えるのがよいでしょう。
また、運動後に紅茶を飲んではいけないわけではありません。
軽い運動後なら無糖のアイスティーなども楽しめますが、大量に汗をかいた場合は水分や電解質の補給を優先してください。
そして忘れてはいけないのが「運動する時間帯」です。
朝や昼の運動ならカフェインを含む紅茶を取り入れやすい一方、夕方から夜は睡眠への影響を考える必要があります。
夜ならデカフェ紅茶やルイボスティー、麦茶などへ切り替えるのもひとつの方法です。
「運動前にはコーヒー」というイメージを持っている方も多いですが、一般的な抽出条件では紅茶の方が100mlあたりのカフェイン量が少ないため、コーヒーよりカフェイン量を抑えながら日常生活に取り入れたい方にとっても選択肢になります。
夏なら無糖のアイスティーにしておけば、運動だけでなく食事や仕事中にも楽しめます。
運動のためだけに特別な飲み物を用意するのではなく、毎日の紅茶を自分の運動時間や生活リズムに合わせて上手に取り入れてみてください。
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この記事の監修
BlenteaLab.(VALUE SALES JAPAN株式会社)
スリランカのグループ会社(工場・茶園運営:VALUE PLANTATION Co.Ltd,)から高品質な茶葉を直接輸入・卸販売する紅茶専門店。
農園での栽培・製茶から日本国内での販売まで一貫して携わる「現場の知識」をベースに、紅茶やハーブの正しく美味しい楽しみ方を発信しています。