
アールグレイはどんな紅茶なのか、ご存じですか?
「柑橘系の香りがする紅茶」というイメージを持っている方は多いと思います。もちろん間違いではありません。しかし、それだけではアールグレイの魅力の半分しか伝わっていません。
実はアールグレイは、特定の茶葉や産地の名前ではなく、「ベルガモット」という柑橘類の香りをまとわせたフレーバーティーです。
そして、その華やかな香りを支えているのが、世界中で高く評価されているセイロンティーです。
特にスリランカ・キャンディ地区で生産される紅茶は、クセが少なくバランスの良い味わいから、アールグレイをはじめとするフレーバーティーやブレンドティーのベースとして長年愛され続けています。
この記事では、
- アールグレイとはどんな紅茶なのか
- ベルガモットとはどんな香りなのか
- なぜセイロンティーが世界中のフレーバーティーに選ばれるのか
- キャンディ地区との深い関係
- 昔と現在の着香方法の違い
まで、紅茶工場の視点から分かりやすく解説します。
読み終える頃には、アールグレイだけでなく、フレーバーティーやブレンドティーの見方も変わるはずです。
アールグレイとは?
アールグレイは「紅茶の種類」ではない
アールグレイは、ダージリンやアッサムのような産地や茶葉の種類ではありません。
ベルガモットという柑橘類の香りを付けた「フレーバーティー」の一種です。
そのため、ベースとなる茶葉は一種類ではなく、メーカーやブランドによってさまざまです。
例えば、
- セイロンティー
- アッサム
- 中国紅茶
- これらをブレンドした茶葉
などがベースで使われています。
つまり、「アールグレイ」という名前だけでは、どこの茶葉が使われているかまでは分かりません。
違いを生み出しているのは、
- ベースとなる紅茶
- ベルガモットの香りの強さ
- ブレンドの配合
などで、メーカーごとに個性があります。
例えば、ベルガモットの香りをしっかり楽しみたい方には、ディルマやリプトンなど、さまざまなメーカーからアールグレイが販売されています。
一方で、「アールグレイ=ベルガモットの香り」と考えられがちですが、実はその香りを美しく引き立てているのは、ベースとなる紅茶です。
特に世界中のアールグレイで多く使われているのが、スリランカ産のセイロンティーです。
この「ベース茶葉」の違いを知ると、アールグレイだけでなく、フレーバーティーやブレンドティーそのものの楽しみ方も大きく広がります。
なぜアールグレイにはセイロンティーが多く使われるの?
アールグレイにはさまざまな茶葉が使われていますが、世界中で最も多く使われているベース茶葉の一つがスリランカ産のセイロンティーです。
では、なぜセイロンティーが選ばれるのでしょうか。
その理由は、ベルガモットの香りを邪魔しない「バランスの良さ」にあります。
例えばアッサムはコクが強く、ミルクティーにはよく合います。一方で、中国紅茶には独特の香りを持つものもあります。
それに対してセイロンティーは、渋み・コク・香りのバランスが良く、クセが少ないのが特徴です。
そのため、ベルガモットの爽やかな香りを引き立てながら、紅茶本来のおいしさもしっかり感じられます。
紅茶業界では、このような「主役を引き立てる茶葉」をベース茶葉として利用することが多くあります。
実はこれはアールグレイだけではありません。
フルーツティーやハーブティー、スパイスティーなど、多くのフレーバーティーやブレンドティーでも、セイロンティーがベースとして選ばれています。
香りや素材の個性を活かしながら、紅茶らしい味わいも残せるためです。
つまり、私たちが普段飲んでいるフレーバーティーのおいしさは、ベルガモットやフルーツだけで決まるわけではありません。
その土台となるベース茶葉があってこそ、香りとの調和が生まれています。
その代表格が、世界中で長年愛されているセイロンティーなのです。
キャンディ産の茶葉がフレーバーティーに向いている理由
セイロンティーの中でも、特にアールグレイやフレーバーティーのベースとして高く評価されている産地の一つがキャンディです。
キャンディは、スリランカ中部の標高約600〜1,200mに広がる「ミディアムグロウン(中産地)」として知られています。
ここで栽培される紅茶は、ほどよいコクとまろやかな味わいが特徴で、渋みが強すぎず、香りも穏やかです。
セイロンティについてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事も併せてご覧ください。

そのため、ベルガモットをはじめ、さまざまな素材の香りを自然に引き立てることができます。
実際にスリランカでは、アールグレイだけでなく、カルダモンやシナモン、クローブなどのスパイスを合わせたフレーバーティーも数多く親しまれています。
スリランカは世界有数のスパイス産地でもあり、料理だけでなく紅茶にもスパイスを取り入れる文化があります。
ホテルやティーサロンでは、アールグレイにカルダモンやシナモンスティックを加えて提供されることも珍しくありません。
ベルガモットの爽やかな香りと、スリランカならではのスパイス、そしてキャンディ産紅茶のやさしい味わい。
これらが調和することで、奥行きのある豊かな一杯が生まれます。
キャンディが「フレーバーティーやブレンドティーのベースに向いている」と言われる理由は、まさにこのバランスの良さにあるのです。
アールグレイはどうやって香りを付けているの?
ベルガモットの爽やかな香りが特徴のアールグレイですが、「どのように香りを付けているのだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?
実は、アールグレイは誕生した当初から、現在まで基本的な考え方は大きく変わっていません。
ベルガモットの果皮から抽出した精油(ベルガモットオイル)を茶葉に着香することで、あの華やかな香りが生まれます。
しかし、その製造場所や方法は、時代とともに少しずつ変化してきました。
昔はイギリスで着香されていた
アールグレイが誕生した19世紀当時、スリランカ(当時のセイロン)は良質な茶葉を生産する産地でした。
現地では茶葉を製造して輸出するまでを担当し、ベルガモットの香りを付ける工程はイギリスなどのブレンダーや紅茶メーカーで行われていました。
その理由の一つが、ベルガモットの産地です。
ベルガモットはイタリア南部など地中海沿岸で栽培される柑橘類で、当時のスリランカではほとんど手に入りませんでした。
そのため、
セイロンで紅茶を作る
↓
イギリスへ輸出する
↓
ベルガモットオイルで着香する
という流れが一般的だったのです。
つまり、スリランカは「ベース茶葉を作る国」、イギリスは「ブレンドや着香を行う国」という役割分担がありました。
現在はスリランカでもアールグレイが作られている
現在では状況が大きく変わっています。
スリランカの紅茶メーカーでは、自社で生産したセイロンティーにベルガモットオイルを着香し、そのまま世界へ輸出するケースが一般的になりました。
例えば、スリランカの代表的な紅茶ブランドであるDilmah(ディルマ)でも、自社工場で着香したアールグレイを製造・販売しています。
「100% Pure Ceylon Tea」をベースにしたアールグレイとして世界中で親しまれているのも、その代表例です。
このように、現在では茶葉の生産から着香、製品化までをスリランカ国内で一貫して行うブランドも増えています。
ジャスミンティーとは着香方法が違う
「お茶に香りを付ける」と聞くと、ジャスミンティーを思い浮かべる方も多いでしょう。
実は、アールグレイとジャスミンティーでは着香方法が大きく異なります。
伝統的なジャスミンティーは、生花と茶葉を何層にも重ね、花が放つ自然な香りを茶葉へ移していく伝統的な製法で作られます。
一方、アールグレイはベルガモットの果皮から抽出した精油(ベルガモットオイル)を茶葉へ均一に着香する方法が一般的です。
どちらも「香りを楽しむお茶」ですが、その香りの付け方には、それぞれ長い歴史と文化があります。
このような違いを知ると、アールグレイだけでなく、ジャスミンティーやさまざまなフレーバーティーを選ぶ楽しさも広がります。

フレーバーティーとブレンドティーの違い
アールグレイをきっかけに紅茶に興味を持つと、「フレーバーティー」や「ブレンドティー」という言葉を目にすることがあります。
どちらもさまざまな味や香りを楽しめる紅茶ですが、実は意味が異なります。
フレーバーティーとは
フレーバーティーとは、茶葉に香りを加えた紅茶のことです。
代表的なのがアールグレイで、ベルガモットの爽やかな香りを茶葉に着香しています。
ほかにも、
- ジャスミンの花の香りを移したジャスミンティー
- 桃やりんごなどのフルーツフレーバー
- バニラやキャラメルなどの甘い香り
などもフレーバーティーに分類されます。
主役はあくまで「香り」であり、その香りを引き立てるベース茶葉が品質を左右します。
ブレンドティーとは
一方、ブレンドティーとは、複数の茶葉を組み合わせて味や香りのバランスを整えた紅茶です。
例えば、
- イングリッシュブレックファスト
- モーニングブレンド
- オリジナルブレンド
などが代表例です。
産地や特徴の異なる茶葉を組み合わせることで、毎回安定した味わいや、そのブランドならではの個性を作り出しています。
フレーバーティーにもブレンドティーにも、セイロンティーが選ばれる理由
一見すると別のお茶のように思えますが、フレーバーティーとブレンドティーには共通点があります。
それは、ベース茶葉の存在がとても重要だということです。
クセが強すぎる茶葉では、ベルガモットやスパイスなどの香りが負けてしまうことがあります。
逆に個性が弱すぎると、紅茶らしい味わいが感じられません。
その点、セイロンティーは渋みやコク、香りのバランスに優れ、さまざまな素材と調和しやすい特徴があります。
そのため世界中で、
- アールグレイ
- フルーツティー
- スパイスティー
- オリジナルブレンド
など、多くの紅茶のベースとして選ばれています。
自分だけの一杯を作る楽しさもある
フレーバーティーやブレンドティーは、メーカーの商品を楽しむだけではありません。
実は、自分で茶葉を選び、オリジナルのブレンドやフレーバーティーを作る楽しみ方もあります。
例えば、
- ベルガモットやスパイスなどの香りを楽しみたい方は、クセが少なく香りを引き立てるPEKOEがおすすめです。
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紅茶は「飲むもの」であると同時に、「自分好みに仕上げる楽しみ」がある飲み物でもあります。
アールグレイをきっかけに、ぜひフレーバーティーやブレンドティーの奥深い世界も楽しんでみてください。
アールグレイのおすすめの飲み方|ストレートだけじゃない楽しみ方
アールグレイはベルガモットの華やかな香りが魅力の紅茶ですが、その楽しみ方はストレートだけではありません。
ミルクやレモン、さらにはスパイスを合わせることで、また違った表情を見せてくれます。
まずはストレートで香りを楽しむ
アールグレイを初めて飲むなら、まずはストレートがおすすめです。
カップに顔を近づけると、ベルガモット特有の爽やかな柑橘の香りがふわっと広がります。
その後にセイロンティーならではのやさしい渋みとコクが続き、香りと味わいのバランスを楽しめます。
特にキャンディ産のセイロンティーをベースにしたアールグレイは、クセが少なく飲みやすいため、初めての方にも人気があります。
ミルクティーにしても美味しい
「アールグレイはストレート専用」と思われがちですが、実はミルクとの相性も良好です。
ベルガモットの爽やかな香りは、ミルクを加えても失われにくく、まろやかで優しい味わいになります。
朝食やティータイムのお供にもぴったりです。
スリランカではスパイスを合わせることもある
スリランカを訪れると、アールグレイにスパイスを合わせた紅茶に出会うことがあります。
これは特別な飲み方ではなく、スパイス文化が根付くスリランカでは比較的親しまれているアレンジです。
カルダモンやシナモン、クローブなどを少量加えることで、
- ベルガモットの爽やかさ
- スパイスの温かみ
- セイロンティーのやさしいコク
が美しく調和し、香り豊かな一杯になります。
なぜスリランカだからこそ美味しいのか
スリランカは世界有数のスパイス生産国でもあります。
シナモンやカルダモンなどは料理だけでなく、お茶にも古くから使われてきました。
そして、キャンディ産をはじめとするセイロンティーはクセが少ないため、スパイスの個性を受け止めながら紅茶らしさもしっかり感じられます。
そのため現地のホテルやティーサロンでは、
- アールグレイ × カルダモン
- アールグレイ × シナモン
- アールグレイ × クローブ
など、さまざまな組み合わせが楽しまれています。
自宅でも気軽に楽しめる
特別な道具は必要ありません。
アールグレイを淹れたあとに、
- シナモンスティックを1本入れる
- カルダモンを軽く潰して加える
- クローブを1〜2粒加える
だけでも、いつもとは違った香りを楽しめます。
ベルガモットとスパイスが織りなす豊かな香りは、自宅でも手軽に味わえるスリランカらしいティータイムです。
スリランカで人気のスパイスティー
紅茶の産地として知られるスリランカですが、実は世界有数のスパイスの産地でもあります。
シナモン、カルダモン、クローブ、ブラックペッパー、ナツメグなど、高品質なスパイスが古くから栽培されており、料理だけでなく紅茶にも自然に取り入れられています。
そのため現地では、ベルガモットの爽やかな香りを楽しむアールグレイに、さらにスパイスを組み合わせた「スパイスアールグレイ」を楽しむことも珍しくありません。
例えば、
- カルダモンを加えて爽やかさを引き立てる
- シナモンでやさしい甘い香りをプラスする
- クローブで深みのある香りを楽しむ
など、それぞれのお店やホテルごとにオリジナルのブレンドがあります。
これはチャイのようにスパイスを強く効かせる飲み方とは少し異なり、ベルガモットの香りを活かしながら、スパイスで奥行きを加えるイメージです。
スリランカのティーサロンでは、こうした一杯が提供されることもあり、紅茶文化の奥深さを感じられる楽しみ方の一つとなっています。
ご家庭でも気軽に試せますので、お気に入りのアールグレイに少量のスパイスを加えて、自分だけのオリジナルブレンドを楽しんでみてはいかがでしょうか。
よくある質問(FAQ)
アールグレイは普通の紅茶と何が違うの?
アールグレイは、ベルガモットという柑橘類の香りを付けた「フレーバーティー」です。
ダージリンやアッサムのような産地や品種ではなく、ベースとなる紅茶にベルガモットの香りを加えて作られます。
そのため、メーカーによって使用する茶葉や香りの強さが異なり、それぞれ違った味わいを楽しめます。
アールグレイにはカフェインがありますか?
はい、あります。
アールグレイは紅茶をベースに作られているため、カフェインを含んでいます。
ベルガモットは香りを付けているだけなので、カフェイン量が大きく変わることはありません。
カフェインについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

ベルガモットは人工香料ですか?
ベルガモットは柑橘類の一種です。
アールグレイには、ベルガモットの果皮から抽出した天然精油(ベルガモットオイル)を使用する商品もあれば、天然香料や香料を使用している商品もあります。
使用される原料はメーカーによって異なるため、気になる方は商品表示を確認すると安心です。
アールグレイはミルクティーに向いていますか?
はい。
一般的にはストレートで飲まれることが多いですが、ミルクを加えてもベルガモットの爽やかな香りは楽しめます。
特にコクのあるベース茶葉を使用したアールグレイは、ミルクとの相性も良く、まろやかな味わいになります。
アレンジするならブラックペッパーやカルダモンから始めるのがおすすめです。
アールグレイはアイスティーにも合いますか?
もちろんです。
ベルガモットの爽やかな香りは、アイスティーにするとより引き立ちます。
暑い季節にはストレートのアイスティーとして楽しむ方も多く、レモンスライスを添えても爽やかに味わえます。
アイスティーについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。


まとめ
アールグレイは、「ベルガモットの香りがする紅茶」というイメージを持たれることが多いですが、その魅力は香りだけではありません。
ベルガモットの爽やかな香りを引き立てているのは、ベースとなる紅茶です。
中でも、世界中で高く評価されているセイロンティー、とくにキャンディ産のようなバランスの良い茶葉は、クセが少なく、さまざまな香りや素材と美しく調和します。
だからこそアールグレイだけでなく、
- フルーツティー
- ハーブティー
- スパイスティー
- ブレンドティー
- ティーソーダ
- ティーカクテル
など、さまざまな紅茶文化が世界中へ広がっていきました。
もしベースとなる紅茶の個性が強すぎれば、ベルガモットやフルーツ、ハーブ、スパイス本来の魅力は十分に活かされなかったかもしれません。
香りが主役と思われがちなフレーバーティーですが、その香りを支えているのは、品質・バランスの良いベース茶葉です。
私たち紅茶工場では、茶葉そのもののおいしさがあってこそ、フレーバーティーやブレンドティーの魅力が最大限に引き出されると考えています。
アールグレイをきっかけに、ぜひベースとなる紅茶にも目を向けてみてください。
きっとこれまでとは違った視点で、紅茶を楽しめるようになるはずです。
そして、もしご自身だけの一杯を作ってみたくなったら、ぜひオリジナルのブレンドやフレーバーティー作りにも挑戦してみてください。
紅茶の世界は、一杯のお茶を飲むだけではなく、「自分で組み合わせる楽しさ」まで広がっています。
その土台となる一枚のキャンバスが、セイロンティーです。
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この記事の監修
BlenteaLab.(VALUE SALES JAPAN株式会社)
スリランカのグループ会社(工場・茶園運営:VALUE PLANTATION Co.Ltd,)から高品質な茶葉を直接輸入・卸販売する紅茶専門店。
農園での栽培・製茶から日本国内での販売まで一貫して携わる「現場の知識」をベースに、紅茶やハーブの正しく美味しい楽しみ方を発信しています。