
紅茶を飲むとリラックスできる?香りとテアニンの関係を紅茶工場が解説
仕事や家事の合間に温かい紅茶をひと口飲んで、「なんだかホッとする」と感じたことはありませんか?
忙しかった一日の終わりに紅茶を淹れたり、読書をしながらゆっくり紅茶を飲んだり。
紅茶には、昔から「ひと息つく時間」と結びついたイメージがあります。
では、紅茶を飲んでリラックスしたように感じるのは、単なる気分の問題なのでしょうか?
実は紅茶には、リラックスとの関係が研究されているアミノ酸の一種「テアニン」が含まれています。
さらに、紅茶を飲んだときに感じる心地よさを考えるうえでは、テアニンだけではなく、紅茶特有の香りやカフェイン、温かさ、そして「紅茶を淹れてゆっくり飲む」という時間そのものにも目を向ける必要があります。
つまり、
「紅茶を飲むとホッとする=テアニンだけのおかげ」
と単純に考えるのではなく、いくつもの要素が重なった「紅茶を飲むという体験」として考えると、その魅力が見えてきます。
この記事では、
- 紅茶に含まれるテアニンとは何か
- テアニンとリラックスに関する研究
- カフェインとテアニンの関係
- 紅茶の香りと私たちの感覚
- アールグレイなど香りを楽しむ紅茶
- リラックスタイムに紅茶を楽しむときの注意点
などについて、紅茶工場の視点も交えながらわかりやすく解説していきます。
「なぜ紅茶を飲むとホッとするんだろう?」
そんな素朴な疑問から、紅茶の面白さをもう一歩深く知ってみましょう。
紅茶を飲むとリラックスできるって本当?
紅茶について調べていると、
「紅茶にはリラックス効果がある」
「テアニンがストレスを和らげる」
といった説明を見かけることがあります。
しかし、ここは少し注意が必要です。
紅茶は食品であり、薬ではありません。
そのため、「紅茶を飲めばストレスが解消する」「紅茶を飲めば自律神経が整う」といったように、特定の効果が必ず得られるかのように考えるのは適切ではありません。
一方で、紅茶や茶に含まれる成分と、リラックスや脳の働きとの関係について研究が行われているのも事実です。
その代表的な成分が「テアニン」です。
紅茶を飲んで「ホッとする」と感じる理由
まず知っておきたいのは、私たちが紅茶を飲んだときに感じる「ホッとする感覚」は、一つの成分だけで決まるものではないということです。
一杯の紅茶を飲むまでを想像してみてください。
お湯を沸かす。
茶葉をティーポットに入れる。
お湯を注ぐ。
数分間蒸らす。
ふたを開けると紅茶の香りが広がる。
カップへ注ぎ、温かい紅茶をゆっくり口にする。
普段は何気なく行っていることですが、実際には「味」「香り」「温度」「成分」「時間」といったさまざまな要素が組み合わさっています。
そのため、紅茶を飲んだときの心地よさを考えるときには、
① 紅茶に含まれるテアニン
② カフェインなどの成分
③ 紅茶の香り
④ 飲み物の温度
⑤ 紅茶を淹れて飲むという時間
などを分けて考える必要があります。
特に面白いのが「香り」です。
紅茶は口に入れて初めて楽しむものではありません。
茶葉にお湯を注いだ瞬間から香りが立ち上がり、私たちは紅茶を飲む前からその香りを感じています。
つまり、紅茶を楽しむ体験は**「飲む前から始まっている」**ともいえるのです。
この「香り」については、後ほど詳しく見ていきます。
紅茶に含まれる「テアニン」とは?
紅茶とリラックスの関係を調べると、よく登場するのが「テアニン」です。
テアニンはアミノ酸の一種で、茶の原料となるチャノキ(Camellia sinensis)に含まれる特徴的な成分です。
紅茶だけに含まれるものではなく、緑茶などにも含まれています。
テアニンは、お茶の旨味や甘味にも関係する成分として知られています。
そして近年では、味に関係するだけでなく、テアニンを摂取したときの脳波や認知機能、ストレスとの関連についてもさまざまな研究が行われています。
ここで一つ覚えておきたいのが、
「テアニン=眠くなる成分」ではない
ということです。
テアニンについては、「落ち着いた状態」との関連だけではなく、集中や注意といった認知機能との関係についても研究されています。
しかも紅茶には、テアニンだけではなく「カフェイン」も含まれています。

カフェインといえば、
「眠気を覚ます」
「頭をすっきりさせる」
というイメージを持つ人も多いでしょう。
ここで少し不思議なことが起こります。
一方にはリラックスとの関係が研究されているテアニン。
もう一方には覚醒作用で知られるカフェイン。
紅茶には、この二つが同時に含まれているのです。
これが紅茶の非常に面白いところです。
「紅茶を飲むとホッとするのに、仕事や読書をしながらでも飲みやすい」
という紅茶の特徴を考えるうえでも、テアニンとカフェインの関係は重要なポイントになります。
この二つがどのように関係しているのかについても、後ほど詳しく解説します。
「紅茶にはリラックス効果がある」と言い切っていい?
ここは、BlenteaLabとして特に大切にしたい部分です。
テアニンとリラックスやストレス反応などとの関係について研究が行われているからといって、
「紅茶を飲めば必ずリラックスできる」
「紅茶を飲めばストレスがなくなる」
という意味ではありません。
研究で使用されるテアニンの量と、実際に一杯の紅茶から摂取する量が同じとは限りませんし、紅茶に含まれる成分量は茶葉の種類、産地、製造方法、使用量、抽出条件などによっても変わります。
さらに、香りの感じ方や「ホッとする」と感じる状況にも個人差があります。
アールグレイの華やかなベルガモットの香りが好きな人もいれば、香り付けされていないセイロンティーの自然な香りを好む人もいます。
▶︎アールグレイとベルガモットの香りについて、セイロンティーの産地や特徴について詳しくはこちら
そのためこの記事では、
「紅茶にはリラックス効果があります」と断定するのではなく、「なぜ紅茶を飲むとホッとすると感じることがあるのか?」
という視点から考えていきます。
その鍵になる一つが「テアニン」です。
では、このテアニンは私たちの身体や脳とどのような関係が研究されているのでしょうか?
次の章では、少しだけ科学の世界に入ってみましょう。
テアニンは私たちの身体でどのように働く?
前の章では、紅茶を飲んだときに「ホッとする」と感じる理由の一つとして、アミノ酸の一種である「テアニン」を紹介しました。
では、テアニンは私たちの身体の中でどのように働くのでしょうか?
テアニンと脳の働きについては、これまでさまざまな研究が行われています。
少し難しそうに感じるかもしれませんが、できるだけわかりやすく見ていきましょう。
テアニンは脳の働きとの関係が研究されている
食べ物や飲み物から摂取した成分が、すべてそのまま脳へ届くわけではありません。
私たちの脳には、血液中の物質が無制限に脳内へ入らないようにする「血液脳関門(BBB)」と呼ばれる仕組みがあります。
テアニンについては、摂取後にこの血液脳関門を通過することが知られており、脳内での働きについて研究されています。
その一つが、神経伝達物質との関係です。
私たちの脳の中では、たくさんの神経細胞が情報をやり取りしています。
これを分かりやすく車に例えるなら、
「脳を活動させるアクセル」と「興奮を抑えるブレーキ」
のような仕組みが存在すると考えるとイメージしやすいでしょう。
例えば「グルタミン酸」は、脳内で情報を伝える重要な神経伝達物質の一つで、主に興奮性の神経伝達に関わっています。
一方、「GABA(γ-アミノ酪酸)」は、神経の興奮を抑える方向に働く代表的な神経伝達物質です。
テアニンについては、こうした神経伝達の仕組みとの関係が研究されています。
ただし、
「紅茶を飲めばGABAが増えて必ずリラックスできる」
というように単純化して考えるのは適切ではありません。
テアニンの働きにはまだ研究されている部分もあり、研究で使用されるテアニンの摂取量と、通常の紅茶を一杯飲んだときの摂取量も同じとは限らないからです。
大切なのは、
「紅茶に含まれるテアニンという成分について、脳や神経の働きとの関係が研究されている」
と理解しておくことです。
テアニンを摂ると「α波」が増えるって本当?
テアニンについて特によく知られている研究の一つが、脳波との関係です。
私たちの脳では、神経細胞の活動に伴って微弱な電気的活動が生じています。
これを測定したものが「脳波(EEG)」です。
脳波にはいくつかの種類があり、その一つに**α波(アルファ波)**があります。
α波は一般に、目を閉じて安静にしているときなどに現れやすい脳波として知られています。
テアニンを摂取した研究の中には、摂取後のα波活動の変化が観察されたものがあります。
このことから、テアニンとリラックスした状態との関係が研究されるようになりました。
ただし、ここでも注意したいことがあります。
「α波が出た=必ずリラックスしている」
と単純に判断できるわけではありません。
脳波はその人の状態や測定条件など、さまざまな要因によって変化するからです。
それでも、テアニンと脳の状態との関係を考えるうえで、α波研究は非常に興味深い手掛かりの一つとなっています。
「眠くなる」のではなく「落ち着きながら頭は働いている」?
ここがテアニンを考えるうえで面白いところです。
「リラックス」と聞くと、
眠くなる、ぼんやりする、活動量が落ちる
といった状態を想像する方もいるかもしれません。
しかし、テアニンについては単純な「鎮静」だけではなく、注意や集中などの認知機能との関係についても研究されています。
このような状態を説明するときに使われることがあるのが、
「Relaxed Alertness(リラックスした覚醒状態)」
という考え方です。
日本語で簡単に表現するなら、
「落ち着いているけれど、頭はすっきりしている状態」
と考えると分かりやすいでしょう。
これは紅茶という飲み物を考えると、とても興味深いポイントです。
紅茶は、眠る直前だけに飲まれてきた飲み物ではありません。
仕事の合間、読書中、勉強中、会話を楽しむティータイムなど、何かをしながら気持ちを切り替える飲み物としても長く親しまれてきました。
もちろん、それがすべてテアニンによるものだと断定することはできません。
しかし、「落ち着くこと」と「頭を働かせること」は必ずしも反対ではない、という視点は紅茶を理解するうえで面白いところです。
そして、ここで一つ疑問が生まれます。
紅茶にはテアニンだけではなく、眠気を覚ます成分として知られるカフェインも含まれています。
それなら、
「テアニンとカフェインを同時に摂ったら、私たちの身体ではどうなるのでしょうか?」
実は、この二つを一緒に摂取した場合についても研究が行われています。
次の章では、紅茶ならではの面白さともいえる**「テアニンとカフェインの関係」**を詳しく見ていきましょう。
紅茶にはカフェインも入っているのに、なぜホッとする?
ここまで、紅茶に含まれるテアニンとリラックスとの関係について見てきました。
しかし、ここで一つ疑問が出てきます。
紅茶にはカフェインも含まれているのに、なぜ「ホッとする」と感じるのでしょうか?
カフェインといえば、コーヒーやエナジードリンクにも含まれ、「眠気を覚ます」「頭をすっきりさせる」といったイメージが強い成分です。
一方、テアニンはリラックスした状態や注意・集中との関係が研究されています。
一見すると正反対のように思えるこの2つの成分が、紅茶の中には一緒に存在しています。
実は、この組み合わせこそが紅茶を考えるうえで、とても興味深いポイントなのです。
カフェインは眠気を覚ます方向に働く
まず、カフェインの働きを簡単に確認しておきましょう。
私たちが起きて活動していると、脳内では「アデノシン」という物質が蓄積していきます。
アデノシンは受容体に結合することで、眠気や疲労感などに関係するシグナルに関与します。
カフェインは、このアデノシンと構造が似ているため、アデノシン受容体に結合し、その働きを妨げます。
その結果、眠気を感じにくくなり、覚醒状態を維持する方向に作用すると考えられています。
だからこそ、
「朝に紅茶を飲む」
「仕事や勉強の途中に紅茶を飲む」
といった習慣とも相性が良いわけです。
しかし、カフェインを多く摂りすぎたり、カフェインに敏感な人が摂取したりすると、落ち着かなく感じる、眠りにくくなるといったこともあります。
つまり、カフェイン=悪い成分というわけではなく、摂取量やタイミング、体質との付き合い方が重要な成分なのです。
テアニンとカフェインは「打ち消し合う」の?
では、紅茶に一緒に含まれているテアニンは、カフェインの作用を打ち消しているのでしょうか?
ここは少し誤解されやすいところです。
「カフェインは興奮させる」
「テアニンはリラックスさせる」
だから、
プラスとマイナスで相殺される
と考えたくなりますが、実際の関係はそれほど単純ではありません。
テアニンとカフェインを組み合わせて摂取した研究では、注意力や認知機能などとの関係が調べられており、単独で摂取した場合とは異なる反応が報告されています。
そのため、
テアニンがカフェインを消してしまう
というより、
それぞれ異なる働きを持つ成分を同時に摂取している
と考える方が適切です。
この点は、紅茶という飲み物の面白さでもあります。
「落ち着く」と「眠くなる」は同じではない
私たちは「リラックス」という言葉を聞くと、つい「眠くなる状態」を想像してしまいます。
しかし、
落ち着いていることと、眠くなることは同じではありません。
例えば、本を読んでいるとき。
集中して仕事をしているとき。
誰かとゆっくり話をしているとき。
これらは眠っているわけではありませんが、緊張している状態とも違います。
前の章で紹介した、
「落ち着いているけれど、頭はすっきりしている」
という状態ですね。
紅茶にはテアニンとカフェインの両方が含まれているため、この組み合わせと注意・集中などとの関係について研究が行われてきました。
「紅茶を飲むと眠くなる」のではなく、
気持ちを切り替えながら、次の行動へ向かうための一杯
という紅茶の楽しみ方もあるのです。
だから紅茶は仕事や読書のお供にも選ばれてきた
紅茶というと、優雅なアフタヌーンティーを思い浮かべる方も多いかもしれません。
しかし実際には、紅茶は朝食、仕事の休憩、読書、勉強など、さまざまな場面で飲まれています。
ここで重要なのは、
「紅茶を飲めば集中力が上がる」
と考えることではありません。
紅茶にはカフェインやテアニンなどの成分が含まれている一方で、私たちは紅茶を飲むことで作業を一度止め、数分間の休憩を取っています。
お湯を沸かし、
茶葉を入れ、
蒸らし、
カップへ注ぐ。
この一連の行動そのものが、仕事や勉強から少し離れるきっかけにもなります。
そして紅茶を飲み終えたら、また仕事や読書に戻る。
つまり紅茶は、
「休むための飲み物」であると同時に、「気持ちを切り替えるための飲み物」
として楽しむこともできるのです。
紅茶とコーヒーでは何が違う?
ここまで読むと、
「では、コーヒーと紅茶では何が違うの?」
と思う方もいるでしょう。
どちらにもカフェインが含まれていますが、含まれる成分や香り、一般的な飲み方は同じではありません。
紅茶にはテアニンが含まれているほか、茶葉をお湯で抽出することでさまざまな香気成分やポリフェノールなども一緒に楽しみます。
一方で、これだけを理由に、
「コーヒーより紅茶の方がリラックスできる」
と断定することはできません。
カフェインの摂取量は飲む量や抽出方法によっても変わりますし、コーヒーの香りが好きな人もいれば、紅茶の香りを心地よいと感じる人もいるからです。
大切なのは、「どちらが優れているか」ではなく、自分にとって心地よい一杯を選ぶことです。
そして、この「心地よさ」を考えるうえで、成分と同じくらい見逃せないものがあります。
それが、紅茶の香りです。
ティーポットにお湯を注いだ瞬間、まだ一口も飲んでいないのに「いい香りだな」と感じることがあります。
この時点では、テアニンもカフェインもまだ身体に取り込まれていません。
それなのに、なぜ私たちは紅茶を「心地よい」と感じることがあるのでしょうか?
次の章では、今回の記事タイトルにも入っているもう一つの重要なテーマ、**「紅茶の香りとリラックスの関係」**を見ていきましょう。
実は「香り」も紅茶のリラックスタイムに重要
ここまで、紅茶に含まれるテアニンやカフェインについて見てきました。
しかし、紅茶を飲んだときに感じる「ホッとする時間」を考えるうえで、もう一つ忘れてはいけないものがあります。
それが、**紅茶の「香り」**です。
考えてみると、私たちは紅茶を口にする前から香りを感じています。
ティーポットにお湯を注いだ瞬間。
蒸らしている間にふわっと漂ってくる香り。
カップを口元へ近づけたときに感じる香り。
この時点では、紅茶に含まれるテアニンやカフェインが身体に吸収されて働いたわけではありません。
それでも、
「いい香りだな」
「なんだかホッとするな」
と感じることがあります。
つまり、紅茶を飲んだときの心地よさを考えるなら、飲んだ後に身体へ取り込まれる成分だけではなく、飲む前から感じている「香り」にも目を向ける必要があるのです。
紅茶の香りは一つではない
「紅茶の香り」と聞くと、一つの決まった香りがあるように思うかもしれません。
しかし実際の紅茶には、さまざまな香気成分が含まれています。
例えば、紅茶の香りに関係する成分として知られているものには、
- リナロール
- ゲラニオール
- フェニルアセトアルデヒド
- ベンジルアルコール
などがあります。
もちろん、これらの名前を覚える必要はありません。
大切なのは、私たちが「紅茶のいい香り」と感じているものは、一つの成分だけでできているわけではないということです。
花のように感じる香り。
果物のように感じる香り。
甘く感じる香り。
爽やかに感じる香り。
こうしたさまざまな香りが複雑に重なり合うことで、それぞれの紅茶らしい香りが生まれています。
さらに、同じ「紅茶」であっても、産地や茶葉、製造方法などによって香りの特徴は異なります。
だからこそ紅茶は、味だけではなく「香りを楽しむ飲み物」でもあるのです。
香りは「飲む前」に脳へ伝わっている
香りを感じる仕組みも興味深いものです。
紅茶から立ち上る香りの成分が鼻に入ると、鼻腔にある嗅覚受容体が刺激され、その情報が脳へ伝わります。
嗅覚は、感情や記憶に関係する脳の領域とも深い関わりを持つ感覚として知られています。
例えば、
「この香りを嗅ぐと昔を思い出す」
「この香りを嗅ぐと落ち着く」
という経験をしたことはないでしょうか。
紅茶でも同じように、いつも飲んでいる紅茶の香りを嗅いだ瞬間に、
「ティータイムだ」
「少し休憩しよう」
と気持ちが切り替わることがあります。
紅茶の香りと生理的な反応について調べた研究もありますが、香りの感じ方には個人差があり、特定の香りを嗅げば誰でも同じようにリラックスできるというわけではありません。
そのため、
「この香りにはリラックス効果がある」
と単純に考えるより、
「自分が心地よいと感じる香りを楽しむことも、紅茶の時間を楽しむ大切な要素の一つ」
と考える方がよいでしょう。
アールグレイは「香りを楽しむ紅茶」の代表格
紅茶の香りを考えるうえで、とても分かりやすいのがアールグレイです。
アールグレイは特定の産地や茶葉の種類を表す名前ではありません。
紅茶などの茶葉に、柑橘類の一種であるベルガモットの香りを付けたフレーバーティーです。
カップへお湯を注ぐと、紅茶の香りと一緒にベルガモット特有の華やかで爽やかな香りが広がります。
つまりアールグレイは、
「紅茶そのものの香り」+「ベルガモットの香り」
を楽しめる紅茶なのです。
アールグレイのベルガモットの香りや、ベースとなるセイロンティーとの関係については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶ アールグレイとは?香りの正体とセイロンティーとの関係を紅茶工場が解説
香りを楽しむなら「ベースとなる紅茶」も大切
アールグレイのようなフレーバーティーでは、ベルガモットなど加えられた香りに注目しがちです。
しかし、紅茶工場の視点から見ると、もう一つ注目してほしいものがあります。
それが、**香りを受け止める「ベース茶葉」**です。
ベルガモット、フルーツ、ハーブ、スパイスなどの香りを加える場合、ベースとなる紅茶の個性が強すぎると、それぞれの香りとのバランスが取りにくくなることがあります。
反対に、紅茶そのものの味や香りが弱すぎても、飲んだときに紅茶らしさを感じにくくなります。
そこで重要になるのが、
「紅茶としてのおいしさを持ちながら、ほかの香りとも調和しやすいこと」
です。
セイロンティーにはさまざまな産地がありますが、キャンディ産のように味や香りのバランスが取りやすい紅茶は、ストレートだけでなく、ブレンドや香りを楽しむ紅茶のベースとしても使いやすい特徴があります。
このことを知ると、アールグレイを見る目も少し変わってきます。
「ベルガモットはどんな香りだろう?」
だけではなく、
「このベルガモットの香りを支えている紅茶は何だろう?」
という楽しみ方ができるようになるからです。

「好きな香り」を選ぶことが一番大切
では、リラックスタイムにはどんな香りの紅茶を選べばよいのでしょうか?
実は、ここに「この紅茶が正解」という答えはありません。
爽やかなベルガモットの香りが好きならアールグレイ。
紅茶そのものの自然な香りが好きならセイロンティー。
スパイスの香りが好きなら、シナモンやカルダモンなどを合わせた紅茶。
花の香りが好きなら、ジャスミンなどを使ったお茶。
人によって「心地よい」と感じる香りは違います。
だからこそ、
「リラックスできるといわれている紅茶」を探すより、「自分が好きな香りの紅茶」を見つける。
それも、紅茶を楽しむ一つの方法ではないでしょうか。
そして、もう一つ考えてみてほしいことがあります。
紅茶を楽しむとき、私たちは香りを嗅いで、すぐに飲んでいるわけではありません。
お湯を沸かし、茶葉を量り、お湯を注いで、数分間待つ。
実はこの**「紅茶を淹れる時間」そのもの**も、普段の生活から少し離れるきっかけになります。
次の章では、成分や香りから少し視点を変えて、**「紅茶を淹れる時間とリラックスタイム」**について考えてみましょう。
紅茶を淹れる「時間」そのものにも意味がある?
ここまで、テアニンやカフェイン、そして紅茶の香りについて見てきました。
しかし、紅茶を飲んだときに感じる「ホッとする時間」を考えるなら、もう一つ注目したいことがあります。
それが、紅茶を「淹れる」という行為そのものです。
紅茶は、ペットボトルの飲み物のようにふたを開ければすぐに飲めるものばかりではありません。
茶葉から紅茶を淹れるなら、
お湯を沸かす。
茶葉を量る。
ティーポットにお湯を注ぐ。
数分間蒸らす。
カップへ注ぐ。
そして、ようやく一杯の紅茶が完成します。
効率だけを考えれば、少し面倒な飲み物かもしれません。
でも、その**「少し時間がかかること」こそ、紅茶の魅力の一つ**なのではないでしょうか。
お湯を沸かすところからティータイムは始まっている
紅茶を飲む時間というと、カップを手にしている時間だけを想像しがちです。
しかし実際には、お湯を沸かし始めたところからティータイムは始まっています。
仕事でパソコンの画面を見続けていた手を止める。
スマートフォンをいったん置く。
キッチンへ行ってお湯を沸かす。
茶葉を選ぶ。
こうした何気ない行動によって、それまで続けていた作業から一度離れることができます。
もちろん、
「紅茶を淹れればストレスが解消する」
という意味ではありません。
ただ、忙しい日常の中で何かをいったん止めて、別の行動へ移ることは、気持ちを切り替えるきっかけにはなります。
そのきっかけを自然に作ってくれるのが、一杯の紅茶なのです。
「蒸らして待つ時間」は決して無駄ではない
茶葉にお湯を注いだら、紅茶が抽出されるまでしばらく待ちます。
茶葉の種類や大きさなどによって適した蒸らし時間は異なりますが、一般的には数分程度です。
忙しいと、
「早くできないかな」
と思ってしまうかもしれません。
しかし、この数分間を別の視点から考えてみましょう。
紅茶を美味しく淹れるためには、茶葉がお湯の中で開き、味や香りが抽出されるまで待つ必要があります。
自分では早めることのできない時間です。
だからこそ、この数分間だけは作業を止めて、紅茶ができあがるのを待ってみる。
ティーポットから立ち上る香りを感じたり、窓の外を眺めたり、何もしないで待ったりする。
そんな時間も、紅茶を楽しむ一部です。
紅茶の蒸らし時間については、茶葉によってどのくらい変わるのか、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶ 紅茶は何分蒸らすのが正解?美味しく淹れる時間の目安とコツ

「3分待つ」ことが気持ちの切り替えになる
例えば、仕事中に少し行き詰まったとき。
そのままパソコンの前で考え続けるのではなく、一度席を立って紅茶を淹れてみる。
お湯を沸かしている間。
紅茶を蒸らしている間。
カップへ注いで香りを感じる時間。
ほんの数分ですが、それまで続けていた作業から物理的に離れることになります。
そして紅茶を一杯飲んだら、また仕事へ戻る。
これは「紅茶に特別な作用があるから」という話ではありません。
紅茶を淹れるという行動が、生活の中に小さな区切りを作ってくれるということです。
紅茶が昔から、
朝食。
午前中の休憩。
アフタヌーンティー。
仕事の合間。
食後。
といった「時間」と結びついて楽しまれてきたことを考えても、紅茶は単に喉を潤すだけの飲み物ではなく、生活のリズムと結びつきやすい飲み物なのかもしれません。
香りを感じながら、ゆっくり飲んでみる
紅茶が完成したら、すぐに飲み干す必要はありません。
カップを手に取り、まず香りを感じてみてください。
一口飲んだら、今度は口の中に広がる味や香りを感じてみる。
少し冷めてくると、淹れた直後とは違った香りや味わいを感じることもあります。
普段何気なく飲んでいる紅茶でも、意識してゆっくり飲んでみると、
「こんな香りがあったんだ」
「少し冷めると甘く感じる」
など、新しい発見があるかもしれません。
これは高級な紅茶でなければできない楽しみ方ではありません。
いつも飲んでいる紅茶でも十分です。
「何を飲むか」だけではなく、「どういう時間として飲むか」。
そこまで含めて考えると、紅茶の楽しみ方は大きく広がります。
テアニンだけでは説明できない「紅茶を飲むという体験」
ここまでの記事を振り返ると、紅茶を飲んだときに感じる心地よさには、さまざまな要素が関係していることが見えてきます。
紅茶に含まれるテアニン。
覚醒との関係で知られるカフェイン。
飲む前から感じている香り。
カップから伝わる温かさ。
そして、
お湯を沸かし、茶葉を蒸らし、ゆっくり飲むという時間。
これらを一つずつ切り離して、
「この成分があるからリラックスできる」
と考えるよりも、
紅茶を淹れて飲む一連の体験そのものが、私たちに「ひと息つく時間」を作ってくれる
と考えると、紅茶の魅力がより分かりやすくなるのではないでしょうか。
そして、ここまで読むと次に気になるのが、
「では、リラックスタイムにはどんな紅茶を選べばいいの?」
ということだと思います。
香りを楽しむアールグレイがいいのか。
紅茶そのものの香りを楽しめるセイロンティーがいいのか。
それとも、自分でハーブやスパイスを加えて楽しむのがいいのか。
次の章では、リラックスタイムに楽しみたい紅茶の選び方を、紅茶工場の視点から紹介していきます。
リラックスタイムにはどんな紅茶がおすすめ?
ここまで読んで、
「では、リラックスタイムにはどんな紅茶を選べばいいの?」
と思った方もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、「リラックスタイムにはこの紅茶が一番」という正解はありません。
これまで見てきたように、紅茶を飲んだときの心地よさはテアニンだけで決まるものではなく、香りや味、温かさ、そして紅茶を淹れて飲む時間など、さまざまな要素が重なっています。
さらに、香りや味の好みは人それぞれです。
だからこそBlenteaLabでは、
「リラックスできるといわれている紅茶を選ぶ」のではなく、「自分が美味しい、いい香りだと感じる紅茶を選ぶ」
ことをおすすめします。
ここでは、好みに合わせた紅茶の選び方をいくつか紹介します。
華やかな香りを楽しみたいならアールグレイ
香りを楽しみながらティータイムを過ごしたい方には、アールグレイが選択肢の一つです。
アールグレイは、紅茶などの茶葉にベルガモットの香りを付けたフレーバーティーです。
ティーポットにお湯を注ぐと、紅茶の香りとともにベルガモットの華やかで爽やかな香りが広がります。
ストレートで香りを楽しむのはもちろん、ミルクを加えたり、アイスティーにしたりと、さまざまな楽しみ方ができます。
メーカーによってベースとなる茶葉やベルガモットの香り方も異なるため、いくつか飲み比べてみるのも面白いでしょう。
例えば、ディルマやリプトンなど身近なブランドにもアールグレイがあります。
「アールグレイは知っているけれど、普段はあまり飲まない」という方も、自分好みの香りを探してみてはいかがでしょうか。
紅茶本来の香りを楽しみたいならセイロンティー
「香り付けされた紅茶より、茶葉そのものの香りを楽しみたい」
という方には、セイロンティーもおすすめです。
セイロンティーとは、スリランカで生産される紅茶の総称です。
一口にセイロンティーといっても、産地によって香りや渋み、コクなどの特徴が異なります。
その中でもキャンディは、セイロンティーの歴史を語るうえでも重要な産地の一つです。
キャンディ産の紅茶は、比較的バランスの取れた味わいを持つものが多く、毎日の紅茶としても楽しみやすいのが特徴です。
強い香りを付けなくても、温かい紅茶を淹れたときに立ち上がる茶葉本来の香りを楽しむことができます。
華やかなフレーバーティーとはまた違う、
「紅茶そのものの香りをゆっくり楽しむ時間」
も、紅茶の魅力の一つです。
セイロンティーにはキャンディ以外にもさまざまな産地があります。
産地によってどのような違いがあるのか知りたい方は、こちらの記事で詳しく紹介しています。

自分でハーブやスパイスを加えてみるのも面白い
紅茶は、そのまま飲むだけの飲み物ではありません。
ハーブやスパイス、柑橘類などを組み合わせることで、自分好みの香りを作ることもできます。
例えば、
- シナモン
- カルダモン
- クローブ
- ミント
- レモンやオレンジなどの柑橘類
といった素材です。
シナモンの甘くスパイシーな香りが好きな人もいれば、ミントの爽やかな香りを好む人もいます。
ここでも大切なのは、
「このハーブやスパイスを入れればリラックスできる」と考えないこと。
あくまで、自分が好きな香りや味を見つけて、紅茶の楽しみ方を広げるためのアレンジとして考えてみてください。
そして、自分で紅茶に何かを加えてみると気付くことがあります。
それが、ベースとなる紅茶の重要性です。
香りを加えるなら「ベース茶葉」にも注目してみよう
ベルガモット、ハーブ、スパイス、フルーツ。
紅茶にはさまざまな香りを組み合わせることができます。
しかし、香りを加えれば何でも美味しくなるわけではありません。
ベースとなる紅茶の渋みや香りが強ければ、加えた素材とぶつかることもあります。
反対に、ベースとなる紅茶がほかの素材と調和しやすければ、それぞれの香りを活かしながら紅茶らしい味わいも楽しめます。
これは、前回アールグレイの記事でも紹介した考え方です。
フレーバーティーの主役が「加えた香り」だとすれば、その主役を支えているのが「ベース茶葉」です。
自宅でハーブやスパイスなどを使った紅茶を試してみたい場合も、
「何を加えるか」
だけではなく、
「どんな紅茶に加えるか」
にも注目してみてください。
例えば、クセが比較的穏やかでバランスの取れたセイロンティーは、さまざまな素材を組み合わせるベースとしても使いやすい紅茶です。
自分でフレーバーティーを作ってみたい方なら、茶葉が比較的大きく、茶葉そのものの香りも楽しみやすいPEKOEを使って試してみるのも一つの方法です。
「今日はどんな香りにしよう?」から紅茶を選んでもいい
紅茶を選ぶとき、
「どの産地が一番いい?」
「どの茶葉が一番高級?」
と考える必要はありません。
今日はベルガモットの爽やかな香り。
明日はセイロンティーの自然な香り。
少し気分を変えたい日はシナモンやカルダモンを加えてみる。
そんな選び方があってもいいのです。
むしろ、
「今日はどんな香りの紅茶を飲みたいだろう?」
と考えるところからティータイムを始めると、紅茶の楽しみ方はさらに広がります。
ただし、一つだけ覚えておきたいことがあります。
「リラックスタイムだから」といって、時間を気にせず何杯でも紅茶を飲んでよいわけではありません。
紅茶にはカフェインが含まれています。
特に夜のティータイムでは、飲む量や時間帯によっては睡眠に影響する可能性もあります。
「ホッとするから寝る前にも紅茶を飲もう」
と思っている方ほど、ここは知っておきたいポイントです。
次の章では、リラックスタイムに紅茶を楽しむときのカフェインや飲む時間についての注意点を見ていきましょう。
紅茶を飲むタイミングにも注意しよう
ここまで、紅茶に含まれるテアニンや香り、そして紅茶を淹れて飲む時間そのものについて見てきました。
「紅茶を飲みながら、ゆっくり過ごしてみよう」
と思った方もいるかもしれません。
ただし、ここで一つ忘れてはいけないことがあります。
それが、紅茶にはカフェインが含まれているということです。
「紅茶を飲むとホッとするから、寝る前にもたくさん飲もう」
というのは、必ずしもおすすめできません。
特にカフェインに敏感な方や夜に紅茶を飲む方は、飲む時間や量についても考えてみましょう。
テアニンが入っていてもカフェインがなくなるわけではない
ここまでの記事では、テアニンとカフェインを一緒に摂取した場合についても研究されていることを紹介しました。
そこで誤解してほしくないのが、
「テアニンが入っているから、紅茶のカフェインを気にしなくても大丈夫」
ということです。
紅茶にテアニンが含まれていても、カフェインそのものがなくなるわけではありません。
カフェインには覚醒作用があり、摂取する量や時間帯、個人差などによっては睡眠に影響することがあります。
特にカフェインへの反応には個人差があります。
夕方に紅茶を飲んでも問題なく眠れる人もいれば、午後以降にカフェインを摂ると寝つきにくいと感じる人もいます。
そのため、
「紅茶なら夜に飲んでも大丈夫」
と一律に考えるのではなく、自分がカフェインにどの程度反応するのかを知ることも大切です。
夜のティータイムは「飲む時間」を意識する
一日の仕事や家事が終わったあと、温かい紅茶を飲みながらゆっくり過ごす。
とても心地よい時間ですが、就寝時間が近い場合はカフェインにも注意しましょう。
カフェインは摂取してすぐにすべて体外へ排出されるものではありません。
そのため、寝る直前だけ紅茶を避ければよいとは限りません。
「何時以降は絶対に飲んではいけない」という時間がすべての人に共通しているわけではありませんが、
「夜に紅茶を飲むと寝つきにくい気がする」
という方は、飲む時間を少し早めてみるのも一つの方法です。
例えば、
夕食後の紅茶を午後のティータイムへ移してみる。
夜はカフェインを含まない飲み物を選ぶ。
一日に飲む紅茶の量そのものを見直してみる。
こうした小さな工夫から、自分に合った飲み方を探してみてください。
カフェインが気になるなら「簡易デカフェ」に頼りすぎない
「最初に紅茶を少し抽出して捨てれば、カフェインをほとんど取り除ける」
という方法を聞いたことがある方もいるかもしれません。
いわゆる「簡易デカフェ」と呼ばれる方法です。
しかし、カフェインだけが最初の短時間ですべて抽出されるわけではありません。
そのため、
「最初のお湯を捨てれば、普通の紅茶がほぼノンカフェインになる」
と考えるのは適切ではありません。
カフェインが気になる方は、こうした方法だけに頼るのではなく、最初からカフェインを減らす加工が施されたデカフェ紅茶などを選ぶ方法もあります。
簡易デカフェで実際にどの程度カフェインを減らせるのかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶ 紅茶のカフェインを減らす方法|簡易デカフェ法は本当に効果がある?紅茶工場が解説

「リラックスしたいから何杯も飲む」はおすすめしない
今回の記事を読んで、
「テアニンが含まれているなら、たくさん紅茶を飲んだ方がいいのでは?」
と思う方もいるかもしれません。
しかし、これはおすすめできません。
紅茶にはテアニンだけではなく、カフェインなどさまざまな成分が含まれています。
また、研究で使用されるテアニンの量と、一杯の紅茶から摂取できる量は必ずしも同じではありません。
そのため、
「テアニンをたくさん摂るために紅茶を何杯も飲む」
という考え方ではなく、
紅茶はあくまで嗜好品として、自分に合った量を楽しむ
ことを基本にしましょう。
「美味しいからもう一杯」
と楽しむことと、
「リラックスするために何杯も飲まなければ」
と考えることは別です。
紅茶を毎日飲む場合の量や、カフェイン、飲み過ぎについて気になる方は、こちらの記事も参考にしてください。
▶ 紅茶は毎日飲んでも大丈夫?適量・カフェイン・飲み過ぎの注意点

「リラックスのため」ではなく「好きだから飲む」
この記事で最も大切にしたいのは、
紅茶を何かの効果を得るためだけの飲み物にしないことです。
「テアニンが入っているから飲まなければ」
「リラックスしたいからこの紅茶を飲まなければ」
と考えてしまうと、せっかくのティータイムが目的を達成するための時間になってしまいます。
紅茶は薬ではありません。
香りが好き。
味が好き。
温かい紅茶を飲む時間が好き。
お気に入りのカップで飲むのが好き。
そんな理由で十分ではないでしょうか。
テアニンや香りについての研究を知ることは、紅茶の面白さをさらに深く知るきっかけになります。
でも最後は、
「自分が美味しいと思う一杯を、自分に合った時間と量で楽しむ」
ことが大切です。
ここまで見てきたように、紅茶を飲んだときに感じる「ホッとする時間」は、テアニンという一つの成分だけでは説明できません。
テアニン、カフェイン、香り、温かさ、紅茶を淹れる時間、そして自分の好み。
さまざまなものが重なって、一杯の紅茶を楽しむ時間が生まれています。
次の章では、これまでの内容を振り返りながら、**「なぜ紅茶を飲むとホッとすると感じるのか」**をまとめていきましょう。
紅茶とリラックスについてのよくある質問(FAQ)
Q1. 紅茶を飲むと本当にリラックスできますか?
紅茶には、リラックスした状態や脳波などとの関係が研究されている「テアニン」が含まれています。
ただし、「紅茶を飲めば必ずリラックスできる」という意味ではありません。
この記事で紹介してきたように、紅茶を飲んだときに感じる心地よさには、テアニンだけではなく、香り、温かさ、味の好み、紅茶を淹れて飲む時間など、さまざまな要素が関係すると考えられます。
そのため、紅茶を何らかの効果を得るために飲むというより、日常の中でひと息つく飲み物として楽しむのがおすすめです。
Q2. 紅茶に含まれるテアニンとは何ですか?
テアニンはアミノ酸の一種で、紅茶の原料となるチャノキ(Camellia sinensis)に含まれる特徴的な成分です。
お茶の旨味や甘味に関係する成分として知られているほか、脳波や注意・集中、ストレスとの関連などについても研究されています。
ただし、研究で使用されるテアニンの量と、普段飲む一杯の紅茶から摂取する量が同じとは限りません。
そのため、「テアニンを摂るために紅茶を大量に飲む」といった飲み方はおすすめしません。
Q3. テアニンが入っているなら、紅茶を飲むと眠くなりますか?
テアニンは「睡眠薬のように眠くする成分」と考えるのは適切ではありません。
テアニンについては、リラックスした状態だけではなく、注意や集中などの認知機能との関係についても研究されています。
また、紅茶には覚醒作用のあるカフェインも含まれています。
そのため、
「テアニンが入っている紅茶=眠くなる飲み物」
と考えない方がよいでしょう。
Q4. リラックスタイムにはアールグレイがおすすめですか?
アールグレイは、ベルガモットの華やかで爽やかな香りを楽しめるため、香りを重視して紅茶を選びたい方には選択肢の一つです。
ただし、ベルガモットの香りを誰もが同じように心地よいと感じるわけではありません。
アールグレイが好きな方もいれば、香り付けされていないセイロンティーを好む方もいます。
大切なのは、
「リラックスできるといわれている香り」ではなく、「自分が好きだと感じる香り」を選ぶこと。
いろいろな紅茶を飲み比べながら、自分にとって心地よい一杯を探してみてください。
Q5. 寝る前に紅茶を飲んでも大丈夫ですか?
一般的な紅茶にはカフェインが含まれているため、寝る前に飲む場合は注意が必要です。
カフェインへの反応には個人差があり、夜に紅茶を飲んでも気にならない人もいれば、夕方以降に飲むと寝つきにくいと感じる人もいます。
「紅茶にはテアニンが入っているから寝る前でも大丈夫」と考えるのではなく、夜に飲む場合は量や時間帯を意識しましょう。
カフェインが気になる場合は、デカフェ紅茶などを選ぶ方法もあります。
Q6. テアニンを摂りたいなら紅茶を何杯飲めばいいですか?
「テアニンを摂るためには紅茶を○杯飲めばよい」と一律に考えることはおすすめできません。
茶葉に含まれる成分量は、茶葉の種類や産地、製造方法、使用量、抽出条件などによって変わります。
また、紅茶にはテアニンだけではなくカフェインも含まれています。
そのため、テアニンだけを目的に飲む量を増やすのではなく、紅茶は自分に合った量で楽しみましょう。
Q7. コーヒーより紅茶の方がリラックスタイムに向いていますか?
どちらが優れているとは一概にはいえません。
紅茶とコーヒーでは含まれる成分や香り、一般的な飲み方などが異なります。
また、紅茶の香りが好きな人もいれば、コーヒーの香りを嗅ぐとホッとする人もいます。
リラックスタイムに選ぶのであれば、
「どちらの方がリラックス効果が高いか」ではなく、「自分はどちらを飲む時間が好きか」
という視点で選んでみてはいかがでしょうか。
まとめ|紅茶の「ホッとする時間」はテアニンだけでは説明できない
紅茶を飲むと、なぜかホッとする。
そんな何気ない感覚から、この記事では紅茶に含まれるテアニンやカフェイン、香り、そして紅茶を淹れて飲む時間について見てきました。
紅茶とリラックスについて調べると、どうしても「テアニン」という成分に注目が集まりがちです。
確かにテアニンは、脳波や注意・集中などとの関係についてさまざまな研究が行われている興味深い成分です。
しかし、
「紅茶を飲むとホッとするのは、テアニンが入っているから」
と、それだけで説明するのは少し違います。
一杯の紅茶には、テアニンだけではなくカフェインも含まれています。
そして私たちは、紅茶を飲む前からその香りを感じています。
さらに、
お湯を沸かす。
茶葉を選ぶ。
お湯を注ぐ。
数分間蒸らす。
カップへ注ぐ。
香りを感じる。
温かい紅茶をゆっくり飲む。
こうした一連の時間まで含めて、私たちは「紅茶を飲む」という体験をしています。
つまり、紅茶の「ホッとする時間」を考えるなら、
テアニン
+ カフェイン
+ 香り
+ 温かさ
+ 紅茶を淹れる時間
+ 自分の好きな味や香り
といった、さまざまな要素を一緒に考える必要があります。
「リラックスできる紅茶」に一つの正解はない
では、リラックスタイムにはどの紅茶を飲めばよいのでしょうか?
これにも、一つの正解はありません。
ベルガモットの華やかな香りが好きなら、アールグレイ。
茶葉そのものの香りを楽しみたいなら、セイロンティー。
シナモンやカルダモンの香りが好きなら、スパイスを加えてみる。
ミルクティーを飲むとホッとする人なら、好きな紅茶にミルクを加えて楽しむ。
人によって「心地よい」と感じる香りや味は違います。
だからこそ、
「リラックス効果があるといわれている紅茶はどれだろう?」
と探し続けるより、
「自分はどんな紅茶を美味しいと感じるだろう?」
と考えてみてはいかがでしょうか。
紅茶は、効果を得るためだけに飲むものではありません。
紅茶工場だからこそ伝えたい「香りと茶葉」の関係
私たちは紅茶工場という立場から、茶葉そのものを見る機会が多くあります。
そこで感じるのは、紅茶の楽しさは「成分」だけでは語れないということです。
同じ紅茶でも、茶葉の産地や大きさ、製造方法、淹れ方によって、香りや味わいは変わります。
さらにアールグレイのようなフレーバーティーなら、ベルガモットの香りだけではなく、その香りを支えているベース茶葉も重要です。
ハーブやスパイスを加える場合も同じです。
何か特別な香りを加えなくても、セイロンティーのように茶葉そのものが持つ香りを楽しむ方法もあります。
「どんな成分が入っているのか」を知ることと、「どんな香りや味が好きなのか」を知ること。
その両方が分かってくると、紅茶はもっと面白くなります。
一杯の紅茶を「何もしない数分間」にしてみる
毎日忙しく過ごしていると、
お湯が沸くまで待つ。
紅茶が蒸らされるまで待つ。
ゆっくり香りを感じる。
そんな数分間さえ、もったいなく感じることがあります。
でも紅茶を飲むときくらい、その「待つ時間」を楽しんでみてもいいのではないでしょうか。
スマートフォンを置いてみる。
パソコンから少し離れてみる。
ティーポットから立ち上る香りを感じてみる。
そして、自分が好きな紅茶をゆっくり飲んでみる。
テアニンが何mg入っているのか。
α波がどう変化するのか。
そうした科学を知ることも、もちろん紅茶の面白さの一つです。
でも、毎日のティータイムでそこまで考える必要はありません。
「ああ、美味しいな」
と思える一杯があれば、それで十分です。
紅茶は薬ではありません。
何かを治すためでも、必ずリラックスするためでもなく、私たちの生活の中で長く楽しまれてきた飲み物です。
科学を知ったうえで、最後は難しく考えすぎず、自分の好きな紅茶を楽しむ。
それがBlenteaLabがおすすめしたい、紅茶との付き合い方です。
この記事の監修
BlenteaLab.(VALUE SALES JAPAN株式会社)
スリランカのグループ会社(工場・茶園運営:VALUE PLANTATION Co.Ltd,)から高品質な茶葉を直接輸入・卸販売する紅茶専門店。
農園での栽培・製茶から日本国内での販売まで一貫して携わる「現場の知識」をベースに、紅茶やハーブの正しく美味しい楽しみ方を発信しています。



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