
妊娠が分かってから、
「紅茶って飲んでも大丈夫なの?」
「赤ちゃんに影響はない?」
「カフェインが入っているから、やめた方がいい?」
と気になったことはありませんか?
もともと毎日のように紅茶を飲んでいた方にとって、妊娠をきっかけに大好きな紅茶をすべて我慢しなければならないのは少し寂しいものです。
結論からいうと、妊娠したからといって紅茶を完全にやめなければならないわけではありません。
大切なのは「紅茶を飲むか、飲まないか」の二択ではなく、紅茶に含まれるカフェインの量を知り、コーヒーや緑茶、チョコレートなども含めた1日のカフェイン摂取量を考えることです。
また、妊娠中に紅茶を楽しむなら、カフェインだけでなく「鉄分の吸収」や「飲む時間」についても知っておきたいポイントがあります。
この記事では、紅茶を扱う工場の立場から、
・妊娠中でも紅茶は飲めるのか
・妊娠中のカフェイン量の目安
・紅茶1杯にはどのくらいカフェインが含まれるのか
・なぜ妊娠中はカフェインに注意するのか
・紅茶と鉄分の関係
・妊娠中に紅茶を楽しむための飲み方
・デカフェ、カフェインレス、ノンカフェインの違い
について、できるだけ分かりやすく解説します。
※妊娠中の体調や医師からの指示には個人差があります。カフェインの摂取について医師・助産師などから個別の指示を受けている場合は、その指示を優先してください。
妊娠中でも紅茶は飲める?
妊娠中=紅茶禁止ではない
「妊娠中はカフェインを避けた方がいい」と聞くと、
「紅茶は一滴も飲んではいけないのでは?」
と思ってしまうかもしれません。
しかし、妊娠中だからといって紅茶そのものが禁止されているわけではありません。
注意したいのは「カフェインの摂りすぎ」です。
紅茶にはカフェインが含まれているため、妊娠中は飲む量や他のカフェインを含む食品との組み合わせを意識する必要があります。
つまり、
「妊娠中だから紅茶をゼロにする」
ではなく、
「1日に摂っているカフェインの量を把握しながら紅茶を楽しむ」
という考え方が大切です。
「紅茶を何杯飲んだか」だけでは判断できない
もうひとつ覚えておきたいのが、カフェインは紅茶だけに含まれているわけではないということです。
代表的なものには、
・コーヒー
・紅茶
・緑茶
・ウーロン茶
・コーラ
・エナジードリンク
・チョコレート
などがあります。
そのため、
「今日は紅茶を2杯しか飲んでいないから大丈夫」
とは必ずしも言い切れません。
朝にコーヒーを飲み、お昼に紅茶を飲み、おやつにチョコレートを食べたのであれば、それらに含まれるカフェインを合わせて考える必要があります。
妊娠中のカフェインは、「紅茶○杯」という杯数だけではなく、1日を通した総摂取量で考えるのがポイントです。
▶︎ カフェインって身体に良いの?悪いの?メリット・デメリットと上手な付き合い方を紅茶工場が解説

妊娠中のカフェインは1日どれくらいまで?
「200mg」がひとつの目安
妊娠中のカフェイン摂取については、世界各国の機関が目安を示しています。
欧州食品安全機関(EFSA)は、妊婦について、すべての摂取源を合わせて1日200mgまでのカフェイン摂取は、胎児に安全上の懸念を生じさせないとしています。
一方、世界保健機関(WHO)は、1日300mgを超える高カフェイン摂取をしている妊婦について、妊娠中の摂取量を減らすことを推奨しています。
日本の厚生労働省も、海外機関による妊婦へのカフェイン摂取に関する注意喚起を紹介しています。
機関によって表現や基準には違いがありますが、妊娠中は「たくさん飲んでも問題ない」と考えるのではなく、カフェインを摂りすぎないよう管理することが大切です。
この記事では、分かりやすい目安として「1日200mg程度まで」を意識して考えていきます。
紅茶1杯にはどのくらいカフェインが入っている?
紅茶に含まれるカフェイン量は一定ではありません。
茶葉の種類や使用量、お湯の量、抽出時間などによって変化します。
目安としてEFSAが紹介している例では、
・紅茶(220ml)……約50mg
・フィルターコーヒー(200ml)……約90mg
・エスプレッソ(60ml)……約80mg
・コーラ(355ml)……約40mg
・一般的なエナジードリンク(250ml)……約80mg
・ダークチョコレート(50g)……約25mg
となっています。
日本の公的資料などでは紅茶100mlあたり約30mgとされる例もあり、数値に違いがあります。
これは「どちらかが間違っている」ということではなく、茶葉量や抽出条件などによって実際のカフェイン量が変わるためです。
では紅茶は1日何杯まで?
仮に紅茶1杯のカフェインを約50mgとして単純計算すると、
50mg × 2杯=100mg
50mg × 3杯=150mg
50mg × 4杯=200mg
となります。
ただし、「妊婦は紅茶を4杯まで飲んでいい」という意味ではありません。
先ほどお話しした通り、カフェインは紅茶以外からも摂取します。
また、濃く淹れた紅茶ではカフェイン量が多くなる場合もあります。
そのため、杯数はあくまで参考程度に考え、
「今日はコーヒーも飲んだ」
「チョコレートも食べた」
「濃い紅茶を飲んだ」
といった1日の食生活全体から判断することが大切です。
なぜ妊娠中はカフェインに注意するの?
カフェインは胎盤を通過する
妊娠中にカフェインの摂りすぎが注意されている理由のひとつが、カフェインが胎盤を通過することです。
母体が摂取したカフェインは胎盤を介して胎児にも届きます。
一方、胎児ではカフェインを代謝する能力がまだ十分に発達していません。
そのため、一般の成人と妊婦ではカフェインについて同じように考えない方がよいのです。
妊娠中はカフェインが体内に長く残りやすくなる
変化するのは赤ちゃんだけではありません。
妊娠すると母体でもカフェインを体外へ処理する速度が遅くなることが知られています。
そのため、妊娠前と同じ感覚でカフェインを摂っていると、
「以前より眠れない」
「カフェインの刺激を強く感じる」
といったことが起こる場合があります。
もともとカフェインへの感受性には個人差がありますので、目安量以内であっても体調に合わせて減らすことが大切です。
多量のカフェイン摂取と妊娠への影響
妊娠中のカフェインについては多くの研究が行われています。
WHOは、1日300mgを超える高いカフェイン摂取について、妊娠喪失や低出生体重との関連が示されていることから、摂取量を減らすよう推奨しています。
ただし、ここで注意したいのは、
「紅茶を飲んだら流産する」
「カフェインを少し摂ったら赤ちゃんが小さくなる」
という意味ではないことです。
妊娠とカフェインの研究には観察研究も多く、WHOも質の高いランダム化比較試験によるエビデンスは十分ではないとしています。
だからこそ、必要以上に怖がるのではなく、公的機関が示している摂取量を参考にしながら「摂りすぎを避ける」という考え方が大切です。
妊娠中の紅茶でカフェイン以外に気をつけたい「鉄分」
妊娠中は鉄分を意識したい
妊娠中は母体の血液量が増え、赤ちゃんの成長にも鉄が必要になります。
そのため、妊娠中は普段以上に鉄を意識した食生活が重要になります。
ここで紅茶をよく飲む方に知っておいてほしいのが、
「紅茶を飲むタイミング」
です。
紅茶に含まれるポリフェノールと鉄吸収の関係
紅茶にはポリフェノールが含まれています。
紅茶のポリフェノールは紅茶らしい味や水色を生み出す大切な成分ですが、食事と一緒に摂取すると、食事に含まれる非ヘム鉄の吸収を妨げる場合があります。
ただし、
「紅茶を飲む=貧血になる」
ということではありません。
鉄分を意識する必要がある方は、紅茶を飲む量だけでなく「いつ飲むか」にも少し気を配るとよいでしょう。
食事と紅茶の時間を少しずらすという考え方
鉄分をしっかり摂りたい食事のときに、必ず紅茶を合わせる必要はありません。
食事とは時間をずらして、ティータイムとして紅茶を楽しむ方法があります。
英国の医療機関では、妊娠中の鉄摂取について、食事の前後1時間程度は紅茶やコーヒーを避けるという案内もされています。
特に鉄剤を処方されている場合は注意が必要です。
鉄剤を服用している方は、紅茶との間隔を自己判断で決めるのではなく、医師・薬剤師などから受けた服用方法の指示を優先してください。
紅茶工場が教える|妊娠中に紅茶を楽しむ5つのポイント
ここまで読んで、
「結局どうやって紅茶を飲めばいいの?」
と思った方もいるかもしれません。
そこで、普段の生活に取り入れやすい5つのポイントにまとめます。
① カフェインは1日全体で考える
まず意識したいのが、
「紅茶だけを数えない」
ことです。
例えば、
朝:コーヒー
昼:紅茶
おやつ:チョコレート
夕方:紅茶
という日もあるでしょう。
この場合、紅茶だけではなく、それぞれから摂取したカフェインを合計して考えます。
特にエナジードリンクなどにはカフェインを多く含む商品もあるため、妊娠中は商品の表示を確認する習慣をつけると安心です。
② 濃すぎる紅茶を何杯も飲まない
同じ紅茶でも、淹れ方によってカフェイン量は変わります。
例えば、
・茶葉をたくさん使う
・長時間抽出する
・濃い紅茶を何杯も飲む
といった飲み方では、結果としてカフェイン摂取量が増える可能性があります。
「紅茶は○杯まで」という数字だけを見るのではなく、濃さや茶葉量も意識してみましょう。
③ カフェインが気になる日は飲み方を工夫する
紅茶は淹れ方によってカフェインの抽出量が変化します。
「妊娠したから紅茶を全部やめる」のではなく、
今日は通常の紅茶を飲む
今日は量を少なくする
今日はデカフェを選ぶ
など、状況に応じて使い分ける方法もあります。
また、「最初のお湯を捨てれば簡単にデカフェになる」といった方法を見かけることがありますが、家庭で完全なデカフェ紅茶を作れるわけではありません。
▶︎ 紅茶のカフェインを減らす方法|簡易デカフェ法は本当に効果がある?紅茶工場が解説

④ 妊娠中は特に食事や鉄剤とのタイミングを考える
妊娠中は鉄分も大切です。
そのため、鉄分を意識した食事と紅茶を毎回セットにするのではなく、
「食後すぐではなく、少し時間を空けて紅茶を楽しむ」
という方法があります。
紅茶を禁止するのではなく、タイミングを工夫するという考え方です。
⑤ 午後や夜はデカフェという選択肢も
カフェインには覚醒作用があります。
妊娠中はカフェインの代謝が遅くなるため、夕方や夜の紅茶で睡眠に影響を感じる方もいるかもしれません。
そんなときは、通常の紅茶からデカフェ紅茶へ切り替えるのもひとつの方法です。
紅茶らしい香りやティータイムそのものを楽しみながら、カフェイン摂取量を減らすことができます。
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デカフェ・カフェインレス・ノンカフェインは同じもの?
妊娠をきっかけに、
「デカフェ」
「カフェインレス」
「ノンカフェイン」
という言葉を意識するようになった方も多いのではないでしょうか。
似た言葉ですが、すべて同じ意味ではありません。
デカフェとは?
一般的にデカフェとは、本来カフェインを含んでいる食品からカフェインの大部分を取り除いたものを指します。
紅茶はもともとカフェインを含む飲み物なので、茶葉からカフェインを減らす処理を行ったものが「デカフェ紅茶」として販売されています。
ここで重要なのは、
「デカフェ=カフェインが完全に0」
とは限らないことです。
カフェインレスとは?
カフェインレスも、カフェインを含む量が少ない食品・飲料に使われる言葉です。
商品によってカフェインの残存量が異なるため、
「カフェインレスだから何杯飲んでもカフェイン0」
とは考えず、気になる場合は商品の表示を確認しましょう。
ノンカフェインとは?
ノンカフェインは、もともとカフェインを含まない原料から作られた飲み物を指す際によく使われます。
例えばカフェインを含まない植物を原料にした飲み物などです。
つまり、
通常の紅茶
↓
カフェインを減らす
↓
デカフェ紅茶
というものと、
そもそもカフェインを含まない植物から作る飲み物
では成り立ちが違います。
妊娠中の飲み物を選ぶときは、「デカフェ」「カフェインレス」「ノンカフェイン」という言葉だけを見るのではなく、原材料やカフェイン量の表示まで確認すると分かりやすいでしょう。
妊娠中ならハーブティーは何でも安心?
「ノンカフェイン=妊娠中なら何でもOK」ではない
カフェインを避けたいと考えたとき、
「それならハーブティーを飲めばいい」
と思うかもしれません。
しかし、ここにはひとつ注意点があります。
植物にはそれぞれ異なる成分が含まれています。
そのため、
「ハーブティー=カフェインがない=妊娠中なら何でも安心」
と単純に考えるのはおすすめできません。
ブレンドハーブティーは原材料を確認しよう
特に注意したいのが、複数の植物を使用したブレンドハーブティーです。
商品名だけでは、どのハーブが使われているのか分からないことがあります。
妊娠中にハーブティーを選ぶ場合は、
・原材料
・注意表示
・1日の摂取目安
などを確認しましょう。
「妊娠中・授乳中は医師に相談してください」といった表示がある場合は、その注意に従ってください。
ルイボスティーなども「適量」を基本に
カフェインを避けるためにルイボスティーなどを選ぶ方もいます。
しかし、ノンカフェインだからといって「いくら飲んでもよい」と考える必要はありません。
妊娠中は特定の飲み物だけを大量に摂るのではなく、水なども含めながらバランスよく水分を摂ることが大切です。
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妊娠中の紅茶についてよくある質問
Q1. 妊娠に気づかず紅茶やコーヒーを飲んでいました。大丈夫?
妊娠が分かる前に紅茶やコーヒーを飲んでいたことで、不安になる方もいると思います。
カフェインを摂取したという事実だけで、「赤ちゃんに悪影響が出る」と決まるわけではありません。
まずは必要以上に不安にならず、妊娠が分かってから1日の摂取量を見直していきましょう。
非常に多く摂取していた場合や不安が強い場合は、健診時などに医師や助産師へ相談してください。
Q2. 妊娠中は紅茶を1日何杯まで飲めますか?
「○杯なら必ず大丈夫」と一律には決められません。
茶葉量や抽出条件によってカフェイン量が変わり、紅茶以外の食品からもカフェインを摂取するためです。
EFSAが示す「すべての摂取源から1日200mgまで」という数値をひとつの参考にしながら、1日全体で考えましょう。
Q3. ミルクティーにすればカフェインは減りますか?
すでに抽出した紅茶に牛乳を加えても、抽出されたカフェインそのものがなくなるわけではありません。
そのため、
「ミルクティーだからカフェインを気にしなくてよい」
ということにはなりません。
ただし、紅茶液そのものの使用量を少なくする作り方なら、1杯あたりのカフェイン摂取量が変わる可能性はあります。
Q4. アイスティーならカフェインは少ないですか?
「冷たい紅茶だからカフェインが少ない」とは限りません。
通常の紅茶をお湯で抽出してから冷やしたアイスティーなら、すでにカフェインは抽出されています。
一方、水出し紅茶はお湯とは抽出条件が異なります。
ただし、水出しなら必ず低カフェインになると決めつけるのではなく、茶葉量・抽出時間などによって変わると考えてください。
▶︎ 水出し専用紅茶は味や香りが落ちる?普通の紅茶との違いを紅茶工場が解説

Q5. 妊娠中でもデカフェ紅茶なら何杯飲んでも大丈夫ですか?
デカフェ紅茶でもカフェインが完全に0とは限りません。
また、砂糖を大量に入れた紅茶などでは別の問題も出てきます。
「デカフェだから無制限」ではなく、商品表示を確認しながら適量を楽しみましょう。
Q6. 妊娠中にアールグレイは飲めますか?
アールグレイは「カフェインのないお茶」の名前ではありません。
アールグレイとは、一般的に紅茶などの茶葉にベルガモットの香りを付けたフレーバーティーです。
そのため、通常の紅茶をベースにしたアールグレイにはカフェインが含まれます。
「ベルガモットだからノンカフェイン」と考えるのではなく、ベースに何が使われているのかを確認しましょう。
▶︎ アールグレイとは?香りの正体とセイロンティーとの関係を紅茶工場が解説

まとめ|妊娠中も「量」と「飲み方」を意識して紅茶を楽しもう
妊娠したからといって、紅茶を必ず完全にやめなければならないわけではありません。
大切なのは、
「紅茶を飲んだかどうか」
ではなく、
「1日にどのくらいカフェインを摂取しているか」
です。
妊娠中に紅茶を楽しむなら、
・紅茶以外も含めた1日のカフェイン量を考える
・濃すぎる紅茶を何杯も飲まない
・食事や鉄剤とのタイミングを意識する
・夜はデカフェを利用する
・ハーブティーも原材料を確認する
といった工夫をしてみましょう。
そして何より、
「妊娠したから紅茶は絶対ダメ」
と必要以上に怖がる必要はありません。
紅茶の香りを楽しみながらゆっくり過ごすティータイムは、紅茶好きにとって大切な時間でもあります。
カフェインの量や飲み方を知ったうえで、その日の食事や体調に合わせて上手に紅茶と付き合っていきましょう。
妊娠中の体調には個人差があります。
カフェイン摂取について不安がある場合や、貧血などで治療・服薬をしている場合、医師や助産師から食事・飲み物について個別の指示を受けている場合は、一般的な目安よりもその指示を優先してください。
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この記事の監修
BlenteaLab.(VALUE SALES JAPAN株式会社)
スリランカのグループ会社(工場・茶園運営:VALUE PLANTATION Co.Ltd,)から高品質な茶葉を直接輸入・卸販売する紅茶専門店。
農園での栽培・製茶から日本国内での販売まで一貫して携わる「現場の知識」をベースに、紅茶やハーブの正しく美味しい楽しみ方を発信しています。





