紅茶でインフルエンザは予防できる?研究結果と正しい取り入れ方を紅茶工場が解説

紅茶でインフルエンザは予防できる?研究結果と正しい取り入れ方を紅茶工場が解説

「紅茶でうがいをすると、インフルエンザ対策になると聞いたのですが本当ですか?」

「冬は紅茶をこまめに飲んだほうがいいのでしょうか?」

「普通のうがいと紅茶うがいでは、何か違いがあるのでしょうか?」

BlenteaLab.では紅茶を扱っていることもあり、このような紅茶と健康に関するご質問をいただくことがあります。

冬になると「紅茶はインフルエンザ対策にいい」「紅茶うがいがおすすめ」といった情報を目にすることがあります。

単なる昔ながらの習慣のようにも思えますが、実は紅茶や茶の成分とインフルエンザの関係については、実験室での基礎研究だけでなく、人を対象にした研究も行われています。

なかでも興味深いのが「紅茶うがい」です。

1990年代に日本で行われた研究では、紅茶エキスでうがいをしたグループと、普段通り生活したグループを比較し、インフルエンザ感染の指標に差がみられました。

さらに、その後には複数の「茶うがい」の研究をまとめたメタ解析も発表されています。

ただし、ここで最初に大切なことをお伝えしておきます。

「研究で可能性が示されている」ことと、「紅茶を飲んだり紅茶うがいをしたりすればインフルエンザを確実に予防できる」ことは同じではありません。

インフルエンザ対策では、ワクチン、手洗い、換気、適度な湿度、十分な休養など、基本的な感染対策が大切です。

紅茶や紅茶うがいは、それらに置き換わるものではありません。

この記事では紅茶工場の立場から、

  • なぜ紅茶がインフルエンザ対策として注目されているのか
  • 紅茶に含まれるテアフラビンとは何か
  • 実際に人を対象とした紅茶うがいの研究ではどのような結果が出たのか
  • 複数の研究をまとめるとどのように評価されているのか
  • 紅茶うがいを日常生活に取り入れるならどう考えればよいのか

について、研究結果と公的機関の情報をもとに分かりやすく解説します。


目次

なぜ「紅茶がインフルエンザ対策になる」と言われているの?

紅茶がインフルエンザ対策として注目される理由の一つが、紅茶に含まれているポリフェノールです。

紅茶に含まれる「テアフラビン」

紅茶にはさまざまなポリフェノールが含まれています。

その中でも紅茶らしい成分として知られているのが「テアフラビン」です。

紅茶は緑茶と同じチャノキ(Camellia sinensis)の葉から作られますが、紅茶の製造工程では茶葉に含まれる成分が酵素の働きによって酸化していきます。

この過程でカテキン類からテアフラビンやテアルビジンなど、紅茶特有の色や味に関係する成分が生まれます。

テアフラビンは紅茶の赤橙色の水色(すいしょく)や風味にも関係する成分ですが、近年ではインフルエンザウイルスを含むさまざまなウイルスとの関係についても研究されています。

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インフルエンザウイルスはどうやって感染する?

インフルエンザウイルスの表面には、ヘマグルチニン(HA)やノイラミニダーゼ(NA)と呼ばれるタンパク質があります。

特にヘマグルチニンは、ウイルスが宿主の細胞に感染していく過程で重要な役割を担っています。

イメージとしては、

ウイルスが細胞に近づく
↓
ウイルス表面の構造が細胞への感染に関与する
↓
細胞内へ侵入して増殖する

という流れです。

そこで研究されているのが、紅茶に含まれるテアフラビンなどの成分が、この感染過程にどのような影響を与えるかという点です。

テアフラビンとインフルエンザウイルスの研究

2012年に学術誌「Antiviral Research」に掲載された研究では、紅茶由来のテアフラビン画分や複数のテアフラビン誘導体について、インフルエンザウイルスに対する作用が実験室レベルで調べられました。

その結果、A型インフルエンザウイルスのH1N1、H3N2、さらにB型のウイルス株に対して、ノイラミニダーゼ(NA)やヘマグルチニン(HA)に関連する阻害作用などが確認されています。

また2021年に報告された別の研究でも、テアフラビンを多く含む茶抽出物について、A型インフルエンザウイルスに対する不活化作用が実験室レベルで報告されています。

こうした研究が、

「紅茶の成分はインフルエンザウイルスに作用する可能性がある」

と言われる科学的背景の一つになっています。

「実験室で作用した」=「紅茶を飲めば感染しない」ではない

ここは非常に重要です。

実験室でウイルスと茶成分を直接接触させて作用が確認されたとしても、人が普通に紅茶を飲んだときに同じ条件になるわけではありません。

濃度、接触時間、唾液、体内での吸収など、条件がまったく異なるからです。

したがって、

「テアフラビンには実験室レベルでインフルエンザウイルスへの作用が確認されている」

ことと、

「紅茶を飲めばインフルエンザを予防できる」

ことは分けて考える必要があります。

では、人を対象とした研究ではどうだったのでしょうか。


実際に人を対象にした「紅茶うがい」の研究がある

紅茶とインフルエンザについて特に興味深いのが、日本で行われた紅茶うがいの研究です。

1990年代に日本で行われた研究

昭和大学医学部微生物学教室などの研究グループは、1992年10月から1993年3月までの約5か月間、紅茶エキスによるうがいとインフルエンザ感染との関係を調べました。

研究では、

0.5%(w/v)の紅茶エキスで、原則として午前8時と午後5時の1日2回うがいをするグループ

と、

普段通り生活する対照グループ

を比較しています。

紅茶うがい群35.1%、対照群48.8%

研究では、血液中の抗体価の変化などを使ってインフルエンザ感染を判定しました。

その結果、感染と判定された割合は、

グループ感染と判定された割合
紅茶エキスでうがいをした群35.1%(35/134)
対照群48.8%(61/125)

となり、統計学的に有意な差が報告されています。

紅茶うがい群のほうが低い割合だったという、非常に興味深い結果です。

「13.7ポイント下がる」と一般化してはいけない

ただし、この数字だけを見て、

「紅茶うがいをすれば誰でもインフルエンザ感染を13.7ポイント減らせる」

と考えるのは適切ではありません。

これは1992~1993年に特定の集団を対象として行われた一つの研究結果です。

研究された時代や対象者、流行していたウイルスなども現在とは異なります。

それでも、単なる試験管実験ではなく、実際に人を対象として紅茶うがいを調べた研究が存在することは注目すべきポイントでしょう。


複数の研究をまとめると「茶うがい」はどう評価されている?

一つの研究だけでは、偶然や研究条件による影響を十分に排除できません。

そこで参考になるのが、複数の研究結果を統合して分析する「メタ解析」です。

2016年には5研究・1,890人をまとめて解析

2016年に「BMC Public Health」に掲載されたメタ解析では、茶または茶成分によるうがいとインフルエンザ感染について調べた研究が分析されました。

条件を満たしたのは5研究で、参加者は合計1,890人。

茶または茶成分でうがいをした人は、水やプラセボでうがいをした人、あるいはうがいをしなかった人と比較して、インフルエンザ感染リスクが低い結果となりました。

ランダム効果モデルでは、

相対リスク(RR)0.71
95%信頼区間 0.56~0.91

という結果が報告されています。

研究者自身も「さらに研究が必要」としている

ここでも数字だけを見ると「茶うがいはインフルエンザを予防する」と言いたくなります。

しかし、このメタ解析に含まれた研究は5件とまだ少なく、研究者自身も、

効果を確認するためには、異なる集団でのさらに大規模な研究が必要

という趣旨の結論を示しています。

つまり、

有望な研究結果はあるものの、これだけで確立したインフルエンザ予防法とまでは言えない

というのが適切な受け止め方です。

2021年の系統的レビュー・メタ解析でも研究がまとめられている

2021年には、茶うがいだけでなく、茶や茶カテキンの摂取まで含めた系統的レビュー・メタ解析も発表されています。

6件のランダム化比較試験と4件の前向きコホート研究、合計3,748人が対象です。

茶うがいと茶カテキン摂取をまとめた解析では、急性上気道感染症について相対リスク0.74という結果が報告され、インフルエンザに限定したサブ解析でも相対リスク0.69という結果でした。

一方、この研究でも最終的には、

非薬物的な介入方法としての可能性について、さらなる検証が必要

とされています。

「茶の研究」すべてを「紅茶の研究」にしてはいけない

ここも注意が必要です。

メタ解析に含まれている研究には、紅茶だけでなく緑茶や茶カテキンを使った研究もあります。

そのため、

「すべての研究で紅茶の効果が証明された」

という意味ではありません。

今回紹介した1990年代の研究は紅茶エキスを使った研究ですが、茶全般を対象にした研究結果と紅茶だけの研究結果は区別して考える必要があります。


紅茶うがいはインフルエンザ対策としておすすめできる?

ここまで読むと、

「それなら紅茶うがいをしたほうがいいのでは?」

と思われるかもしれません。

BlenteaLab.では、紅茶うがいについては、

「基本的な感染対策にプラスして、日常生活の中で無理なく取り入れられる補助的なセルフケアの一つ」

として考えるのがよいと思っています。

ワクチンや手洗いの代わりではない

厚生労働省ではインフルエンザの予防・対策として、

  • ワクチン
  • 外出後の手洗い
  • 適度な湿度の保持
  • 十分な休養
  • バランスのとれた栄養
  • 人混みなどへの外出を控える
  • こまめな換気

などを挙げています。

ワクチンについては、感染そのものを完全に防ぐものではありませんが、感染後に発症する可能性を低減する効果や重症化を防ぐ効果が報告されています。

したがって、

「紅茶うがいをしているから、ほかの感染対策はしなくても大丈夫」

という考え方はおすすめできません。

「基本の感染対策+紅茶うがい」と考える

紅茶うがいを取り入れるなら、

ワクチン・手洗い・換気・適度な湿度・十分な休養など
+
日常生活の中での紅茶うがい

という位置付けが分かりやすいでしょう。

特別な医薬品を使うのではなく、普段飲んでいる紅茶を生活習慣の中で活用できる点は、紅茶うがいの取り入れやすさの一つです。

ただし、あくまでも「プラスアルファ」です。


紅茶うがいはどうやって取り入れる?

では、家庭で紅茶うがいを試してみたい場合は、どのように考えればよいのでしょうか。

研究では0.5%の紅茶エキスが使われていた

先ほど紹介した1997年の研究では、0.5%(w/v)の紅茶エキスが使用されました。

ここで注意したいのは、これは研究で設定された条件であり、

家庭で淹れた紅茶とまったく同じものではない

という点です。

そのため「茶葉○gを○mLで淹れれば研究と完全に同じ効果になる」といった説明はできません。

家庭では普段の紅茶を利用する方法が取り入れやすい

日常の補助的な習慣として考えるのであれば、家庭で淹れた紅茶を口に含めても安全な温度まで冷まして、うがいに利用する方法が取り入れやすいでしょう。

紅茶うがいのためだけに高級な茶葉を用意する必要はありません。

ティーバッグであれば毎回の茶葉量も比較的そろえやすく、準備や後片付けもしやすいため、日常的な習慣には向いています。

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熱い紅茶では絶対にうがいをしない

淹れたばかりの紅茶は高温です。

熱い状態で口や喉に含むと、やけどをする危険があります。

紅茶うがいに使う場合は、

必ず口に含んでも安全な温度まで十分に冷ましてから使用してください。

「熱いほうがウイルスに効きそう」と考えて熱い紅茶でうがいをする必要はありません。

口をすすいでから喉のうがいへ

一般的なうがいと同じように、

最初に口の中をすすぐ
↓
吐き出す
↓
次に喉の奥まで届くようにうがいをする

という方法なら、日常のうがい習慣にも組み込みやすいでしょう。

ただし、

「15秒を3回行えばインフルエンザを防げる」

など、特定の秒数や回数による効果が確立されているわけではありません。


紅茶うがいはいつするのがいい?

「いつ紅茶うがいをすればいいですか?」

という疑問もあると思います。

帰宅後など普段のうがいのタイミングに

外出先から帰ったときなど、もともとうがいをするタイミングで紅茶を利用すれば、特別な習慣を増やさず続けやすくなります。

厚生労働省も急性呼吸器感染症対策として、手洗い、うがい、マスク、換気などを挙げています。

その日常的なうがいの選択肢として紅茶を利用する、と考えると分かりやすいでしょう。

研究では1日2回行われていた

1990年代の紅茶うがい研究では、原則として午前8時と午後5時の1日2回行われていました。

したがって、少なくともこの研究については、

「数十分おきに紅茶うがいをしなければ意味がない」

という条件ではありませんでした。

ただし、1日2回が最適な回数だと証明されたわけでもありません。

研究で使われた条件と、家庭で無理なく続ける習慣は分けて考えましょう。


出がらしの紅茶でもインフルエンザ対策になる?

紅茶うがいについて調べると、

「飲み終わったティーバッグの出がらしでも十分」

という情報を見かけることがあります。

「出がらしでも十分」とは言い切らないほうがよい

紅茶の成分は一煎目の抽出で終わりというわけではありませんが、二煎目では抽出される成分量や濃度が変化します。

そして、先ほど紹介した人を対象とした研究で使用されたのは、条件を設定した紅茶エキスです。

そのため、

「一度使ったティーバッグなら、どれだけ薄くても同じ予防効果がある」

とは言えません。

紅茶うがいをするのであれば、研究と同じ効果を保証するものではないことを理解したうえで、普通に抽出した紅茶を利用するほうがシンプルでしょう。

二煎目は一煎目と同じ紅茶ではない

茶葉は二煎目、三煎目と抽出するにつれて、香りや味だけでなく抽出される成分のバランスも変わっていきます。

これは紅茶を飲む場合にも同じです。

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ミルクティーでうがいをしてもいい?

紅茶がよいなら、

「ミルクティーでもいいのでは?」

と思う方もいるかもしれません。

紅茶うがいとして利用するのであれば、BlenteaLab.では砂糖やミルクなどを加えないストレートの紅茶をおすすめします。

紅茶うがいにミルクを加える必要はない

紅茶ポリフェノールと乳タンパク質との相互作用についてはさまざまな研究があります。

また、別のウイルスを対象とした実験室研究では、牛乳に含まれるカゼインが紅茶由来成分のウイルス不活化作用に影響したという報告もあります。

ただし、これはインフルエンザの紅茶うがいについて、人で同じことを証明した研究ではありません。

そのため、

「ミルクを入れるとインフルエンザへの作用が完全になくなる」

とまでは言えません。

一方、1990年代の紅茶うがい研究も紅茶エキスを使用しています。

うがいを目的にするのであれば、わざわざ牛乳や砂糖を加える必要はなく、何も加えていない紅茶を使うのがシンプルです。

もちろん、飲み物としてミルクティーを楽しむこと自体に問題があるという意味ではありません。

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紅茶は「飲むだけ」でもインフルエンザ対策になる?

ここも混同されやすいところです。

「紅茶うがいの研究があるなら、紅茶を飲めば同じなのでは?」

と思われるかもしれません。

「うがい」と「飲用」は分けて考える

紅茶うがいの研究結果を、そのまま紅茶を飲んだ場合に当てはめることはできません。

うがいでは口や喉に茶液を接触させて吐き出しますが、飲用ではそのまま飲み込みます。

条件が異なるためです。

茶や茶成分を摂取した研究も存在する

一方、茶や茶カテキンの摂取とインフルエンザなどの上気道感染症との関係を調べた研究もあります。

2021年の系統的レビュー・メタ解析では、茶うがいだけでなく茶カテキン摂取についても分析され、予防効果の可能性を示す結果が報告されています。

ただし、これらには緑茶や茶カテキンなどの研究も含まれています。

そのため、

「毎日紅茶を飲めばインフルエンザにならない」

という結論にはなりません。

冬の水分補給として紅茶を楽しむのは一つの選択肢

紅茶はカフェインを含みますが、通常の飲み方であれば摂取した水分がすべて利尿によって失われるわけではなく、水分摂取の一部になります。

冬は夏ほど喉の渇きを感じにくい一方、暖房などによって室内が乾燥することがあります。

「インフルエンザ予防薬」として紅茶を飲むのではなく、

普段の水分補給を兼ねて温かい紅茶を楽しむ

という取り入れ方なら、冬の日常習慣として続けやすいでしょう。

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医師や医療機関でも紅茶うがいは取り入れられている?

紅茶うがいについては、一部の医師や医療・介護関係者が日常のセルフケアとして紹介している例があります。

研究自体にも昭和大学医学部の研究者らが関わっており、医療分野でも以前から研究対象になってきたテーマです。

「医療関係者も行っている」ことと「医学的な標準予防法」は別

ここは非常に重要です。

医師個人や一部の医療・介護施設が紅茶うがいを紹介・実践していることがあっても、

「医療機関ではインフルエンザ予防として紅茶うがいを標準的に行っている」

とは言えません。

医師個人のセルフケア習慣と、公的機関や医学会などが定める標準的な感染対策は分けて考える必要があります。

なぜ医療関係者からも関心を持たれてきたのか

紅茶うがいが関心を集める背景には、

  • 紅茶や茶成分について基礎研究がある
  • 人を対象とした紅茶うがい研究がある
  • 茶うがいをまとめたメタ解析も存在する
  • 普段の生活の中で取り入れやすい

といった理由があります。

特に、薬として服用するのではなく、普段のうがい習慣の中に取り入れられるという手軽さは特徴の一つでしょう。

ただし、だからこそ位置付けとしては、

「必須のインフルエンザ予防法」ではなく、「基本的な感染対策に加えて行う補助的なセルフケア」

と考えるのが適切です。


紅茶うがいをするときに注意したいこと

紅茶は身近な飲み物ですが、紅茶うがいにもいくつか注意したいことがあります。

熱い紅茶をそのまま使わない

最も分かりやすい注意点です。

紅茶は熱湯で抽出することが多いため、淹れた直後は非常に熱くなっています。

口や喉をやけどしないよう、必ず安全な温度まで冷ましてから使用してください。

紅茶うがいだけに頼らない

紅茶うがいを取り入れる場合でも、

ワクチン、手洗い、換気、適度な湿度、十分な休養などの基本的な対策をやめない

ことが大切です。

紅茶うがいは「これだけやれば大丈夫」というものではありません。

インフルエンザにかかった後の治療法ではない

紅茶や紅茶うがいについて研究があるからといって、

インフルエンザにかかった後に紅茶うがいをすれば治る

ということではありません。

急な高熱、強い倦怠感、関節痛などインフルエンザが疑われる症状がある場合は、必要に応じて医療機関に相談してください。

特に乳幼児、高齢者、基礎疾患がある方などは重症化することもあります。

うがいが難しい人には無理に行わない

小さな子どもや、飲み込み・うがいの機能に不安がある高齢者などでは、誤嚥する可能性があります。

「インフルエンザ対策になるかもしれないから」と無理に紅茶うがいをさせる必要はありません。

安全にできることが大前提です。


よくある質問

紅茶うがいをすればインフルエンザを完全に予防できますか?

いいえ。

人を対象とした紅茶うがい研究や茶うがいのメタ解析では感染リスク低下の可能性を示す結果がありますが、完全に感染を防げることを意味するものではありません。

基本的な感染対策に追加する補助的な習慣として考えましょう。

普通の紅茶でうがいをしてもいいですか?

家庭で補助的な習慣として取り入れるのであれば、一般的な紅茶を安全な温度まで冷まして使用する方法が考えられます。

ただし、1997年の研究では0.5%の紅茶エキスが使われており、家庭で淹れた紅茶と研究条件が完全に同じではありません。

ティーバッグでもいいですか?

ティーバッグも紅茶です。

PEKOE・BOP・Dなどは主に茶葉サイズを表す分類であり、ティーバッグだから紅茶ポリフェノールがないというわけではありません。

ティーバッグは茶葉量をそろえやすく、準備や後片付けが簡単という点では、日常の紅茶うがいに取り入れやすいでしょう。

▶︎ PEKOE・BOP・Dとは?紅茶工場が教える茶葉サイズによる違いと選び方

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出がらしでも大丈夫ですか?

二煎目にも茶葉由来成分は抽出されますが、一煎目と同じ濃度・成分バランスになるわけではありません。

「出がらしでも研究と同じ予防効果が得られる」と断定できる十分な根拠はありません。

ミルクティーでもいいですか?

飲み物としてミルクティーを楽しむことと、紅茶うがいは分けて考えましょう。

紅茶うがいをするのであれば、砂糖や牛乳などを加えない紅茶を使う方法がシンプルです。

紅茶を飲むだけでもいいですか?

茶や茶カテキンの摂取についても研究されていますが、紅茶を飲めばインフルエンザを確実に予防できるとは言えません。

普段の水分摂取や嗜好飲料として楽しみながら、感染対策は別にきちんと行いましょう。

インフルエンザにかかってから紅茶うがいをすれば治りますか?

いいえ。

紅茶うがいはインフルエンザの治療法ではありません。

発症が疑われる場合は、紅茶だけで対処しようとせず、症状や重症化リスクに応じて医療機関へ相談してください。


まとめ|紅茶は「基本の感染対策+日常の補助ケア」として考えよう

「紅茶でインフルエンザを予防できる」という話を聞くと、単なる民間療法のように感じる方もいるかもしれません。

しかし実際には、紅茶に含まれるテアフラビンなどとインフルエンザウイルスの関係を調べた基礎研究があります。

さらに日本では、人を対象として紅茶エキスによるうがいを調べた研究も行われています。

1990年代の研究では、インフルエンザ感染と判定された割合が、

紅茶うがい群 35.1%
対照群    48.8%

となり、統計学的に有意な差が報告されました。

さらに2016年のメタ解析では5研究・1,890人、2021年の系統的レビュー・メタ解析では6件のランダム化比較試験と4件の前向きコホート研究、合計3,748人が分析され、茶うがいや茶成分の摂取について感染リスク低下の可能性を示す結果が報告されています。

これは非常に興味深い研究結果です。

ただし、研究数には限りがあり、緑茶や茶カテキンを使った研究も含まれています。

そのため、

「紅茶を飲んでいるからインフルエンザにならない」

「紅茶うがいをしているからワクチンや手洗いは必要ない」

ということではありません。

厚生労働省が示すようなワクチン、手洗い、換気、適度な湿度、十分な休養などの基本的な対策を行ったうえで、

「いつものうがいに紅茶を使ってみる」

という程度から取り入れるのがよいでしょう。

紅茶工場としても、紅茶を医薬品のように考えるのではなく、

毎日の生活の中で楽しみながら、無理なく取り入れられる補助的なセルフケアの一つ

として知っていただければと思います。

研究結果を過大評価する必要はありません。

一方で、「紅茶だからただの気休め」と決めつける必要もありません。

大切なのは、

科学的に分かっていることと、まだ分かっていないことを区別しながら、基本の感染対策にプラスすること。

冬の一杯の紅茶を楽しむことも、紅茶うがいとして活用することも、そんな日常の小さな習慣の一つとして取り入れてみてはいかがでしょうか。


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この記事の監修

BlenteaLab.(VALUE SALES JAPAN株式会社)

スリランカのグループ会社(工場・茶園運営:VALUE PLANTATION Co.Ltd,)から高品質な茶葉を直接輸入・卸販売する紅茶専門店。
農園での栽培・製茶から日本国内での販売まで一貫して携わる「現場の知識」をベースに、紅茶やハーブの正しく美味しい楽しみ方を発信しています。

この記事で参考にした主な研究・公的資料

  • 厚生労働省「インフルエンザ(総合ページ)」予防と対策
  • 厚生労働省「令和7年度 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A」
  • Iwata M, et al. Prophylactic Effect of Black Tea Extract as Gargle against Influenza. 感染症学雑誌. 1997;71(6):487-494.
  • Ide K, et al. Effect of gargling with tea and ingredients of tea on the prevention of influenza infection: a meta-analysis. BMC Public Health. 2016;16:396.
  • Umeda M, et al. Preventive effects of tea and tea catechins against influenza and acute upper respiratory tract infections: a systematic review and meta-analysis. Eur J Nutr. 2021.
  • Zu M, et al. In vitro anti-influenza virus and anti-inflammatory activities of theaflavin derivatives. Antiviral Research. 2012;94(3):217-224.
  • Takeda Y, et al. In vitro virucidal activity of the theaflavin-concentrated tea extract TY-1 against influenza A virus. Journal of Natural Medicines. 2022.