
透明なカップに紅茶を注ぐと、鮮やかな赤橙色や、深みのある赤褐色の水色(すいしょく)が広がります。
紅茶の魅力といえば香りや味わいが思い浮かびますが、この美しい色も紅茶ならではの特徴です。
では、紅茶はなぜ赤い色になるのでしょうか?
実は、その理由の一つに**「テアフラビン(Theaflavin)」というポリフェノール**があります。
緑茶も紅茶も、基本的には同じチャノキの葉から作られています。
それなのに、緑茶は黄緑色に近く、紅茶は赤橙色や赤褐色になるのはなぜでしょうか。
その違いには、茶葉に含まれる成分と、紅茶工場で行われる製造工程が深く関係しています。
今回は、テアフラビンとはどのような成分なのか、ポリフェノールやカテキンとの関係、紅茶の赤い色が生まれる仕組み、味わいや健康に関する研究まで、紅茶工場の視点からわかりやすく解説します。
結論|テアフラビンは紅茶の赤い色を生み出す代表的なポリフェノール
最初に結論からお伝えします。
テアフラビンは、茶葉に含まれるカテキン類が紅茶の製造工程で酸化・反応することによって生成されるポリフェノールの一種です。
紅茶の赤橙色の水色や、渋みなどの味わいに関わる重要な成分として知られています。
テアフラビンとはどんな成分?
テアフラビンは、紅茶の製造過程で生成される代表的なポリフェノールです。
一般に「テアフラビン」と呼ばれるものには、複数の関連成分があります。
代表的なものは、次の4種類です。
- テアフラビン(TF)
- テアフラビン-3-ガレート(TF-3-G)
- テアフラビン-3′-ガレート(TF-3′-G)
- テアフラビン-3,3′-ジガレート(TFDG)
これらをまとめて「テアフラビン類」と呼びます。
名前は少し難しく感じるかもしれませんが、一般的に紅茶を楽しむうえでは、すべてを覚える必要はありません。
まずは、紅茶を作る過程で生まれ、紅茶らしい色や味わいに関係する成分と理解していただければ十分です。
紅茶の赤橙色や味わいに関係している
テアフラビン類は、紅茶の明るい赤橙色に関わる成分として知られています。
また、紅茶の渋みなどの味わいにも関係しています。
ただし、紅茶の色や味はテアフラビンだけで決まるわけではありません。
テアルビジン類をはじめとするほかのポリフェノールや、香りに関係する成分なども複雑に作用しています。
茶葉に含まれるカテキン類が酸化して生まれる
テアフラビンの大きな特徴は、もともと茶葉に含まれているカテキン類から生成されることです。
茶葉の中にあるカテキン類が、紅茶の製造工程で酸化酵素の働きによって反応し、テアフラビン類などが生成されます。
つまり、テアフラビンは紅茶に後から添加するものではなく、茶葉そのものが紅茶へと変化していく過程で生まれる成分なのです。
テアフラビンとポリフェノール・カテキンの関係とは?
テアフラビンについて調べていると、「ポリフェノール」「カテキン」「タンニン」といった言葉が出てきます。
これらは似た意味で使われることもありますが、まったく同じものではありません。
そもそもポリフェノールとは?
ポリフェノールとは、分子内に複数のフェノール性水酸基を持つ化合物の総称です。
植物に含まれる成分の中には、さまざまなポリフェノールがあります。
例えば、
- カテキン類
- アントシアニン類
- フラボノール類
- テアフラビン類
などです。
つまり、ポリフェノールとは特定の一つの成分名ではなく、多くの化合物を含む大きなグループを指しています。
カテキンは茶葉に含まれる代表的なポリフェノール
茶葉には、もともとカテキン類が含まれています。
代表的なものには、
- エピカテキン(EC)
- エピガロカテキン(EGC)
- エピカテキンガレート(ECG)
- エピガロカテキンガレート(EGCG)
などがあります。
これらは緑茶にも紅茶にも関係する成分です。
緑茶では、製造の早い段階で加熱して酸化酵素の働きを抑えるため、カテキン類が比較的多く残ります。
一方、紅茶では茶葉の酸化反応を進めるため、カテキン類の一部が別の成分へと変化していきます。
テアフラビンはカテキン類から生成される別の成分
ここで重要なのは、テアフラビンがカテキンの一種というわけではないことです。
テアフラビンは、カテキン類が酸化・反応することで生成される別のポリフェノールです。
関係を簡単に整理すると、次のようになります。
ポリフェノール
↓
その一種として茶葉に含まれる「カテキン類」
↓
紅茶製造中の酸化・反応
↓
「テアフラビン類」などが生成される
ただし、すべてのカテキンがテアフラビンになるわけではありません。
実際には多くの反応が並行して起こり、さまざまな酸化生成物が生まれます。
また、完成した紅茶にも、反応せずに残ったカテキン類が含まれています。
タンニンとテアフラビンは同じもの?
タンニンは、もともとタンパク質と結合する性質などに着目して使われてきた言葉です。
紅茶の渋みに関係するポリフェノールを説明する際にも使われます。
一方、テアフラビンは特定の化学構造を持つ成分群の名前です。
そのため、タンニンとテアフラビンを完全に同じ意味で使うことはできません。
また、「タンニン」という言葉の使われ方は食品化学や分析方法によって異なるため、すべての紅茶ポリフェノールを単純にタンニンの下位分類として整理することも適切ではありません。
紅茶の渋みやタンニン感については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶︎ 紅茶の「タンニン感」とは?ポリフェノールとの関係や渋みの正体を紅茶工場が解説

紅茶工場ではテアフラビンはどのように作られる?
ここからは、紅茶工場の視点でテアフラビンが生成される仕組みを説明します。
紅茶の製造にはさまざまな方法がありますが、ここでは一般的なオーソドックス製法を例に紹介します。
茶葉を萎凋(いちょう)させる
摘み取った茶葉は、まず萎凋という工程に入ります。
萎凋とは、茶葉の水分を減らし、葉をしなやかにする工程です。
この工程では、単に水分が減るだけでなく、茶葉の内部でもさまざまな生化学的変化が起こります。
その後の揉捻や酸化工程に適した状態へと茶葉を整えていきます。
揉捻(じゅうねん)で茶葉の細胞を傷つける
萎凋が終わった茶葉は、揉捻工程へ進みます。
揉捻とは、茶葉を揉み込む工程です。
茶葉を揉むことで細胞構造が壊れ、それまで細胞内で隔てられていた成分や酵素が接触しやすくなります。
ここで重要になるのが、
- 茶葉に含まれるカテキン類
- ポリフェノールオキシダーゼなどの酸化酵素
- 空気中の酸素
です。
これらが関わることで、カテキン類の酸化反応が進んでいきます。
酸化工程でカテキン類が反応する
紅茶の製造工程では、一般に「発酵」と呼ばれる工程があります。
ただし、ここでいう発酵は、ヨーグルトや納豆のように微生物の働きを主役とする発酵とは異なります。
紅茶の場合は、主に茶葉に含まれる酵素によって進む酸化反応です。
この工程で、カテキン類が酸化され、反応を重ねることでテアフラビン類などが生成されます。
テアフラビン類は、適切な種類のカテキン類が酸化的に反応することで、特徴的なベンゾトロポロン構造を持つ化合物として形成されます。
専門的な構造名を覚える必要はありませんが、単にカテキンが二つくっついただけではなく、化学構造そのものが変化している点が重要です。
また、酸化工程ではテアフラビンだけでなく、テアルビジン類をはじめとする多様な成分も生成されます。
紅茶の色や味わいは、この複雑な酸化反応によって形づくられていくのです。
乾燥工程で酵素の働きを抑え、仕上げる
酸化工程を終えた茶葉は、乾燥工程へ進みます。
乾燥によって茶葉の水分を減らし、加熱によって酸化酵素の働きを抑えます。
これにより、茶葉を保存に適した状態へと仕上げていきます。
ただし、乾燥中にも熱による成分変化が起こるため、すべての化学反応が完全に停止するという意味ではありません。
紅茶工場では、茶葉の状態や香り、水色、味わいなどを確認しながら、製造条件を調整します。
オーソドックス製法とCTC製法の違いについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
▶︎ オーソドックス製法とは?CTC製法との違いを紅茶工場が解説

なぜ紅茶は赤い色になる?テアフラビンと水色の関係
紅茶を淹れたときの液体の色を、紅茶の世界では「水色(すいしょく)」と呼びます。
紅茶の水色には、明るい赤橙色から深い赤褐色まで、さまざまな違いがあります。
テアフラビンは赤橙色の水色に関わる
テアフラビン類は、紅茶の赤橙色の水色に関わる代表的な成分です。
特に、紅茶の明るさや赤みを考えるうえで重要な成分の一つとされています。
ただし、テアフラビンだけで紅茶の水色が決まるわけではありません。
実際の紅茶には、ほかにもさまざまな色に関係する成分が含まれています。
テアルビジン類は赤褐色や濃さに関わる
テアフラビンと並んで、紅茶の色に関係するのが「テアルビジン類」です。
テアルビジン類は、紅茶の赤褐色や色の濃さなどに関わる、複雑な酸化生成物の集まりです。
テアフラビン類と比べると、化学構造や成分組成が十分に解明されていない部分も多くあります。
また、テアルビジン類がすべてテアフラビンから変化して生まれるわけではありません。
紅茶の酸化工程では、複数の反応経路を通じて多様な成分が生成されます。
テアフラビンだけで紅茶の色が決まるわけではない
紅茶の水色を考えるときは、複数の成分の関係を見る必要があります。
代表的なものを整理すると、次のようになります。
| 成分 | 水色との主な関係 |
|---|---|
| テアフラビン類 | 明るい赤橙色などに関わる |
| テアルビジン類 | 赤褐色や色の濃さなどに関わる |
| その他のポリフェノールや色素成分 | 色調や見え方に関与する |
これらはあくまで代表的な関係です。
実際の水色は、成分の濃度や組み合わせ、抽出条件、pHなどによっても変化します。
同じ紅茶でも色が違うのはなぜ?
紅茶の水色が違う理由には、さまざまな要因があります。
例えば、
- 茶葉の品種や栽培条件
- 摘採した茶葉の状態
- 製造時の酸化条件
- 茶葉のサイズ
- 使用する茶葉量
- 蒸らし時間
- 水の性質
などです。
同じ紅茶でも、茶葉量や蒸らし時間が変われば、カップに抽出される成分量も変化します。
そのため、色が濃い紅茶だからといって、必ずテアフラビンの含有量が多いとは限りません。
紅茶の水色は、複数の成分と抽出条件が組み合わさって生まれるものなのです。
テアフラビンは紅茶の味や渋みにも関係する?
テアフラビンは、紅茶の色だけでなく、味わいにも関係しています。
では、テアフラビンが多いほど美味しい紅茶になるのでしょうか?
テアフラビンは渋みや苦みなどの味わいに関わる
テアフラビン類は、紅茶の渋みや苦みなどの感覚に関係する成分です。
また、紅茶の味わいを評価する際には、テアフラビン類を含むポリフェノールの組成が重要になります。
ただし、紅茶の渋みや苦みはテアフラビンだけによるものではありません。
残存するカテキン類やカフェイン、その他の成分も味わいに関係しています。
さらに、香りや温度なども、飲んだときの印象に影響します。
テアフラビンが多いほど美味しい紅茶になる?
テアフラビン類は、紅茶の品質を評価するうえで重要な成分の一つです。
しかし、テアフラビンが多ければ、必ず美味しい紅茶になるというわけではありません。
紅茶の美味しさには、
- 香り
- 渋み
- 苦み
- コク
- 水色
- 後味
など、さまざまな要素が関係しています。
例えば、渋みがしっかりと感じられる紅茶を好む方もいれば、穏やかな味わいを好む方もいます。
そのため、一つの成分だけで紅茶の美味しさを判断することはできません。
香り・渋み・コクのバランスが大切
紅茶工場では、茶葉の製造条件によって香りや水色、味わいが変化することを考慮しながら製造を行います。
テアフラビン類は重要な成分ですが、それだけを増やすことが目的ではありません。
紅茶の美味しさは、一つの成分の多さではなく、香り・渋み・コクなどのバランスによって生まれます。
これは、紅茶を選ぶときにも知っておいていただきたいポイントです。
酸化が進むほどテアフラビンは増える?
テアフラビンは茶葉の酸化によって生成される成分です。
では、酸化時間を長くすればするほど、テアフラビンが増えるのでしょうか?
実は、そう単純ではありません。
酸化の初期からテアフラビンが生成される
紅茶の製造中、カテキン類が酸化されることでテアフラビン類が生成されます。
酸化反応が進むにつれて、テアフラビン類の量が増える段階があります。
しかし、テアフラビンの生成と同時に、別の化学反応も進行しています。
酸化が進むと別の反応も起こる
生成されたテアフラビン類は、その後の反応によって変化することがあります。
また、カテキン類からはテアフラビン以外の酸化生成物も作られます。
つまり、酸化工程では、
- カテキン類が減少する反応
- テアフラビン類が生成される反応
- テアフラビン類がさらに変化する反応
- その他の酸化生成物が作られる反応
などが複雑に進んでいます。
そのため、酸化時間とテアフラビン量は、単純な比例関係にはなりません。
酸化させすぎればよいわけではない
テアフラビン類の量は、製造条件によって増減します。
酸化が進む途中でテアフラビン類の量が最大となり、その後減少する場合もあります。
したがって、
「酸化を長く続ければ、テアフラビンが増え続ける」
という理解は正しくありません。
また、酸化を長く進めれば、必ず紅茶の品質が高くなるというわけでもありません。
紅茶工場では水色・香り・味わいを見ながら仕上げる
紅茶工場では、茶葉の状態や製造条件を確認しながら、仕上がりを調整します。
酸化の進み方は、茶葉の品種や状態、温度、湿度、揉捻の程度などによっても変わります。
そのため、すべての茶葉に対して同じ酸化時間が最適になるとは限りません。
テアフラビンは重要な成分ですが、製造現場では最終的な紅茶の香りや水色、味わいのバランスも大切にしています。
テアフラビンが多い紅茶はどれ?産地や茶葉による違い
「テアフラビンが含まれている紅茶を選びたい場合、どの産地がよいのでしょうか?」
という疑問もあるかもしれません。
ディンブラ・ウバ・アッサムなどの紅茶と水色の特徴
紅茶には、産地によってさまざまな特徴があります。
例えば、
ディンブラ
スリランカの代表的な紅茶産地の一つです。明るい水色や、バランスのよい味わいが特徴として紹介されることがあります。
ウバ
スリランカの高地に位置する紅茶産地です。季節や茶葉によっては、特徴的な香りやしっかりとした渋みが感じられます。
アッサム
インドの代表的な紅茶産地です。濃い水色やコクのある味わいを持つ紅茶が多く、ミルクティーにも利用されています。
ただし、これらは産地ごとの一般的な特徴です。
産地だけでテアフラビン含有量を判断できる?
テアフラビン類の含有量は、産地名だけで決まるわけではありません。
同じ産地でも、
- 茶樹の品種
- 茶葉の生育条件
- 摘採時期
- 製造方法
- 酸化工程の条件
などによって成分組成は変化します。
そのため、
「ディンブラだからテアフラビンが多い」
「アッサムだから必ずテアフラビンが多い」
と断定することはできません。
また、水色が濃いという理由だけで、テアフラビン類が多いと判断することもできません。
正確な含有量を知るには、適切な分析が必要です。
PEKOE・BOP・Dなど茶葉サイズで含有量は変わる?
BlenteaLab.でも扱っているPEKOE・BOP・D(Dust)は、主に茶葉のサイズによる分類です。
一般的に、
- PEKOE:比較的大きな茶葉
- BOP:細かくカットされた茶葉
- D(Dust):さらに細かな茶葉
という違いがあります。
ただし、これらはテアフラビン含有量を示す分類ではありません。
「Dだからテアフラビンが多い」「PEKOEだから少ない」という関係ではないのです。
一方、茶葉のサイズは抽出速度に関係します。
細かい茶葉は、同じ抽出条件であれば成分が比較的早く抽出される傾向があります。
そのため、同じ時間で淹れたときの水色や味わいに違いが出ることがあります。
茶葉サイズと紅茶の特徴については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶︎ PEKOE・BOP・Dとは?紅茶工場が教える茶葉サイズによる違いと選び方

抽出時間や茶葉量でも一杯の成分量は変わる
同じ紅茶を使っていても、茶葉量や蒸らし時間によって、カップに抽出される成分量は変わります。
例えば、茶葉量を増やしたり、抽出時間を長くしたりすると、テアフラビン類などの抽出量が増える場合があります。
ただし、すべての成分が同じ速度で抽出されるわけではありません。
また、長く蒸らせば必ず美味しくなるというわけでもありません。
成分量だけでなく、香りや渋みのバランスを考えながら淹れることが大切です。
テアフラビンにはどんな健康効果が研究されている?
テアフラビンについて調べると、抗酸化作用や抗ウイルス作用など、健康に関係する研究が紹介されることがあります。
ただし、ここでは研究結果を正しく理解することが重要です。
試験管内で確認された作用と、人が紅茶を飲んだ場合の健康効果は、同じものではありません。
抗酸化作用に関する研究
テアフラビン類には、試験管内の実験などで抗酸化作用が確認されています。
抗酸化作用とは、酸化に関係する化学反応を抑える働きなどを指します。
ただし、試験管内で抗酸化作用が確認されたからといって、紅茶を飲むことで人の体内でも同じ強さの作用が得られるとは限りません。
体内での吸収や代謝、実際に到達する濃度なども考慮する必要があります。
抗菌・抗ウイルス作用に関する研究
テアフラビン類については、細菌やウイルスに対する作用を調べた研究もあります。
例えば、インフルエンザウイルスなどに関する試験管内の研究が報告されています。
しかし、
「テアフラビンに抗ウイルス作用がある」ことと、「紅茶を飲めばインフルエンザを予防できる」ことは別です。
試験管内で使用する成分の濃度と、実際に紅茶を飲んだときに体内で得られる濃度は同じではありません。
紅茶は感染症の予防接種や手洗いなどの対策に代わるものではありません。
紅茶とインフルエンザに関する研究については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
▶︎ 紅茶でインフルエンザは予防できる?研究結果と正しい取り入れ方を紅茶工場が解説

血糖値や脂質代謝に関する研究
テアフラビン類については、糖質の消化に関係する酵素や、脂質代謝などへの作用を調べた研究もあります。
一部の試験管内研究や動物実験では、関連する作用が報告されています。
しかし、これらの結果だけで、
「紅茶を飲めば血糖値が下がる」
「テアフラビンを摂ればコレステロール値が改善する」
と断定することはできません。
紅茶全体を対象とした人の研究があったとしても、その結果をテアフラビン単独の効果として扱うことには注意が必要です。
紅茶を飲めば病気を予防できるとは限らない
テアフラビン類は、さまざまな研究の対象となっている成分です。
しかし、研究で注目されていることと、日常的に紅茶を飲むことで特定の病気を予防・治療できることは同じではありません。
特に、成分を高濃度で使用した実験結果を、そのまま通常の紅茶一杯に当てはめることはできません。
紅茶は健康効果だけを目的に大量に飲むものではなく、香りや味わいを楽しむ飲み物として、無理のない範囲で取り入れることが大切です。
テアフラビンを多く摂るには濃い紅茶を飲めばいい?
テアフラビンが紅茶に含まれる成分だと知ると、
「濃い紅茶を飲んだ方が、テアフラビンをたくさん摂れるのでは?」
と思うかもしれません。
茶葉量や抽出時間で成分の溶出量は変わる
茶葉量を増やしたり、抽出時間を長くしたりすると、カップに溶け出すポリフェノール類の量が増える場合があります。
ただし、テアフラビン類だけを選んで抽出できるわけではありません。
また、成分ごとに溶け出す速度や量は異なります。
そのため、濃い紅茶だからといって、テアフラビンだけが多く抽出されているとは限りません。
濃い紅茶にはカフェインも含まれる
紅茶には、テアフラビン類だけでなくカフェインも含まれています。
茶葉量や抽出時間を増やすことで、カフェインの摂取量も増える場合があります。
カフェインへの感受性には個人差があり、摂取量や飲む時間帯によっては睡眠などに影響することもあります。
そのため、特定のポリフェノールを摂ることだけを目的に、濃い紅茶を大量に飲むことはおすすめしません。
成分量だけを目的に無理して飲む必要はない
紅茶の魅力は、特定の成分の含有量だけではありません。
香りや味わい、水色を楽しむことも紅茶の大切な魅力です。
また、通常の紅茶を飲むことでテアフラビン類をどの程度摂取できるかは、商品や抽出条件によって異なります。
健康を意識して紅茶を飲む場合でも、カフェイン量や自分の体調に配慮しながら楽しみましょう。
紅茶を毎日飲む場合の適量や注意点については、こちらの記事も参考にしてください。
▶︎ 紅茶は毎日飲んでも大丈夫?適量・カフェイン・飲み過ぎの注意点を紅茶工場が解説

よくある質問
テアフラビンは紅茶にしか含まれませんか?
テアフラビン類は、紅茶に特徴的なポリフェノールとして知られています。
ただし、紅茶以外のお茶にも、加工方法や酸化条件によってテアフラビン類が生成・検出される場合があります。
そのため、厳密には紅茶だけにしか存在しない成分と断定することはできません。
テアフラビンとカテキンはどちらが健康にいいですか?
一概にどちらが健康によいとは判断できません。
テアフラビン類とカテキン類は化学構造や性質が異なり、研究されている作用もさまざまです。
試験管内での作用が強い成分が、必ずしも人が飲んだときに優れているとは限りません。
テアフラビンとテアルビジンの違いは何ですか?
テアフラビン類は、カテキン類の酸化反応によって生成される、特徴的な化学構造を持つ成分群です。
一方、テアルビジン類は、紅茶の酸化工程で生成される複雑な成分群を指します。
一般的に、テアフラビン類は明るい赤橙色、テアルビジン類は赤褐色や色の濃さなどに関係すると説明されます。
ただし、紅茶の色はこれらの成分だけで決まるわけではありません。
テアフラビンが多い紅茶は赤色が濃いですか?
必ずしもそうとは限りません。
テアフラビン類は紅茶の赤橙色に関係しますが、水色の濃さにはテアルビジン類なども関わっています。
また、茶葉量や抽出時間によっても色は変化します。
そのため、水色だけを見てテアフラビン含有量を正確に判断することはできません。
ミルクティーにするとテアフラビンの働きはなくなりますか?
ミルクに含まれるタンパク質と、紅茶のポリフェノールが相互作用することは知られています。
ただし、ミルクを加えたからといって、テアフラビンがすべて消失するわけではありません。
また、こうした相互作用が人の体内での健康効果にどの程度影響するかについては、研究結果を慎重に解釈する必要があります。
「ミルクティーにすると紅茶の健康効果がなくなる」と断定することはできません。
アイスティーにもテアフラビンは含まれますか?
はい。一般的な紅茶から作ったアイスティーにも、テアフラビン類は含まれます。
ただし、抽出方法や茶葉量によって、カップに溶け出す成分量は異なります。
また、冷却によって紅茶の成分が会合し、白く濁る「クリームダウン」という現象が起こる場合もあります。
そのため、ホットティーとアイスティーでは、水色や見た目が異なることがあります。
テアフラビンは熱湯で壊れますか?
テアフラビン類は、温度やpH、加熱時間などの条件によって化学的に変化する可能性があります。
ただし、通常の紅茶の抽出で熱湯を使ったからといって、テアフラビン類がすべて壊れてしまうわけではありません。
実際に、熱湯で抽出した紅茶にもテアフラビン類は含まれています。
そのため、テアフラビンを守るためだけに、紅茶を極端に低い温度で淹れる必要はありません。
まとめ|テアフラビンは紅茶の色と味わいを支える大切な成分
今回は、紅茶に含まれるテアフラビンについて、成分の特徴から製造工程、紅茶の色や味わいとの関係まで解説しました。
最後に、重要なポイントを振り返ってみましょう。
- テアフラビンは紅茶の赤橙色に関わる代表的なポリフェノール
- 茶葉に含まれるカテキン類が酸化・反応することで生成される
- 紅茶の製造工程では、テアフラビン以外にも多様な成分が生まれる
- 紅茶の赤褐色や色の濃さにはテアルビジン類なども関係している
- テアフラビンが多いほど必ず美味しい紅茶になるわけではない
- 酸化時間を長くすれば、テアフラビンが増え続けるわけではない
- 産地名や茶葉サイズだけでテアフラビン含有量を判断することはできない
- 抗酸化作用などの研究はあるが、紅茶を飲むだけで病気を予防できるとは断定できない
透明なカップに紅茶を注ぐと、美しい赤橙色の水色が広がります。
その色は、茶葉が紅茶へと変化する製造工程の中で生まれたものです。
茶葉に含まれるカテキン類が酸化し、テアフラビン類をはじめとするさまざまな成分へと変化していく。
その複雑な反応が、紅茶らしい色や味わいを形づくっています。
そして、紅茶工場では茶葉の状態や製造条件を確認しながら、香り・水色・味わいのバランスを整えていきます。
いつもの紅茶の赤い色にも、茶葉の成分と紅茶工場の製造技術が関わっている。
そんなことを少し意識してみると、毎日の紅茶がさらに興味深いものになるかもしれません。
次に紅茶を淹れるときは、ぜひカップの中に広がる水色にも注目してみてください。
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この記事の監修
BlenteaLab.(VALUE SALES JAPAN株式会社)
スリランカのグループ会社(工場・茶園運営:VALUE PLANTATION Co.Ltd,)から高品質な茶葉を直接輸入・卸販売する紅茶専門店。
農園での栽培・製茶から日本国内での販売まで一貫して携わる「現場の知識」をベースに、紅茶やハーブの正しく美味しい楽しみ方を発信しています。



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